「腹が立つ」「腹に据える」「腹を割る」「腹が決まる」など、腹をつかったことわざが日本にはたくさんありますね。いずれも、感情や本心、覚悟にかかわるものです。一方で、「頭を使え」みたいな言い方になると、すこし狡猾なニュアンスがでてきますね。この、素直な状態を示す「腹」と、見せかけや計算の世界を示す「頭」、これが腸と脳の関係を示しているともいえるわけで、人間の行動や思考の根本は、脳ではなく、実は腸にあるのではないか、ということなのです。

このような腸の働きの重要性に注目があつまっているのが最近の腸活ブームでもあるわけですが、それはつまり腸内環境を整えようという話です。腸内環境とはなにかといえば、腸内には細菌叢といって、さまざまな細菌が存在していて、それがバランスよく共存している関係になるとき、理想的な体調管理が可能になると考えます。

それでは腸にはどのような細菌が存在しているのでしょうか。大きく分けると、善玉菌、悪玉菌、日和見菌という三つに分けられます。善玉、悪玉というのは読んで字のごとくですが、世の常として、すべてがすべて善玉というわけにはいかず、かならずそこではバランスが存在しているということは重要です。日和見菌、というのは、かつての全共闘時代の学生運動みたいな言い方ですが、最近の人はピンと来ないかもしれません。つまり、その時の流れによって、善玉に加担するときもあれば、悪玉に加担することもある、という特徴を持っている菌のことをいいます。

一般的に、善玉菌が優勢な状態にあることはいうまでもありませんが、食生活の乱れなどによって悪玉菌が優位になってくると、腸内環境が悪化し、便秘などの症状につながりやすくなります。つまり、老廃物が排出されにくくなる、ということですね。

ここまでくると、やっと腸と肌との関係、ということになりますが、人体のメカニズムというのはとても複雑なもので、AとBがこういう関係にあるから、それに対応してCがDになる、というように割り切って確定的な話をすることはできません。ただし、身体のすべては何らかの形でつながっていることも確かです。ですから、腸内環境を気にすることによって、食生活に気を付けるようになり、そうなれば睡眠時間も確保され、ストレスも減り、肌の状態も改善する、というのは当然の話ですね。

ただ、そういう言い方をすると、すべての健康に関する話がそういう話に帰着してしまうことにもなりますから、最後にすこし詳しい話をしてみましょう。例えば、腸内で老廃物が排出されなくなると、それは血液を経由して、肌の状態にも影響を与えることになります。また幸せホルモンともいわれるセロトニンのほとんどが腸で作られるともいわれています。以前のブログで、肌の状態は精神状態を映し出す鏡、ともいいましたが、その精神状態の根本であるのが、冒頭のことわざでも触れた通り、腹、つまりは腸なのです。