五輪イヤーの2020年。年が明けて「さあ盛り上がっていくぞ!」というタイミングで訪れたのがまさかの新型コロナウイルス問題でした。3月はじめには学校も休校となり、4月には緊急事態宣言がなされ、これまでの生活が一変しました。

しかし皆の努力の結果、5月下旬には緊急事態宣言が解かれ、少しずつ日常を取り戻しつつあります。東京都では本日6月19日をもって、一部の大規模イベントを除いて休業要請は全面的に解除。なんとか第一波を乗り切って、ひとまずの出口が見え始めてきました。

とはいえ、今後も感染拡大防止のために、人と人との距離を取り、手洗い・うがい、手指の消毒、マスクの着用…などの徹底が必要不可欠です。なるべく人混みを避け、可能な企業・業種においては在宅勤務を継続するところも少なくないでしょう。

そんな中、新たに問題になっているのが「コロナうつ」。現代の誰もが体験したことのなかった自粛生活で「うつ」の症状が急増しているそうです。自粛解除となった今も、第二波に備え緊張した生活・精神状態が続けば、さらに患者が増えていくことも予想されます。

そもそもコロナ禍以前から、精神疾患は増加の一途をたどっています。厚生労働省の報告では、2008年度には約104万人だったうつ病などの気分障害患者が、2017年度には約128万人になっているとのこと。以前からうつ病・自閉症などと「腸」の関連性が推定されており、ここ数年、研究が活発化。実際に腸内細菌叢の多様性の低下、バランスの乱れなどが報告されているそうです。

国立精神・神経医療研究センターの調査では、健常の人のビフィズス菌などに比べ、うつ病患者はそれが少なく、潰瘍性大腸炎を患っている人も多かったと報告されています。さらにうつ病だけでなく、認知症患者でも同様の報告が。認知症患者とそうでない人の腸内細菌叢のバランスは明らかに違ったといい、そのなかでも常在菌であり日和見菌と言われるバクテロイデスの量に大きな差があったといいます。認知症患者はこのバクテロイデスがかなり少なく、またバクテロイデスが多い人は認知症の発症者が極めて少なかったのだとか。このバクテロイデスや酪酸産生菌のような日和見といわれる腸内細菌がたくさんいること、すなわち腸内細菌の多様性が、脳の健康を維持することにつながるということですね。

以前のコラム「認知症予防には、有酸素運動がおすすめ!」(https://sanoh-corp.jp/post-990/)などで取り上げた、有酸素運動で活性化する脳由来神経栄養因子「BDNF」を覚えていますか? BDNFが活性化すると、脳の神経細胞やそのネットワークが増加するのですが、実は腸内細菌叢の改善でもBDNFが増加するそうです。

この「脳腸相関」「腸脳軸」といわれる研究は、世界中で進められています。腸内環境によい影響を与える「プロバイオティクス」がうつ病の症状軽減に有効という臨床試験の報告もあり、例えばヨーグルトなどの発酵食品が推奨されています。日本食には納豆やお漬物など優秀かつ美味しい発酵食品が多数ありますから、ぜひ毎日の食習慣に取り入れたいですね。

ダイエットにも免疫力アップにもつながるだけでなく、脳にも大きな影響を及ぼす「腸」の健康。「コロナうつ」にならないためにも、将来の認知症リスクを少しでも下げるためにも、今日からさっそく「腸活」をしてみましょう!