認知症は誰もが罹患する可能性のある疾患です。そして眼の疾患である白内障も、認知症と同じく加齢とともにそのリスクは高くなります。

 

そもそも白内障とは、本来透明であるはずの水晶体が白く濁ったり変色したりすることで起こる疾患。症状は見えづらかったりボヤけたりとさまざまですが、水晶体の白濁が光を乱反射させるため「まぶしい」と訴える方も多いそうです。

 

目の構造はよくカメラとレンズに例えられます。レンズである水晶体が混濁・変色していると光を通さないため、フィルムである網膜に映し出すことができません。そのためこの濁った水晶体を手術で人工レンズに交換するのが、一般的な白内障の治療です。

しかし「手術」と言われるとハードルが高いですよね。「見えているからいいや」と眼科受診を後回しにしている人も少なくないのではないでしょうか。白内障を放置すれば失明の危険がありますが、そこまで重症化しなくとも別の問題が発生します。その中の一つが認知症です。

人間は情報の9割を視覚から受け取っていると言われています。そのため「見えにくい」という状態が続けば、そのぶん脳への刺激が少ないままということ。脳の情報量が減ることで脳機能が低下し、認知症への危険が高まってしまうのです。2764人の高齢者を対象にした軽度認知障害(MCI)テストでは、白内障手術を受けた人が、そうでない人に比べて、MCIが少なかったという調査結果も報告されています。

 

よく認知症防止のため、手を動かしたりクイズやパズルをしたりと「脳を働かせる」取り組みがありますが、視覚からが9割と脳が得る情報の大半を占めるのであれば、まずは目を大切にすることが先決です。このほかにも「見えづらい」という状態は、外出する気持ちを減退させて筋力低下につながったり、見えないためにモノにつまずいたりなど、転倒やケガの危険性も高まります。

白内障は大学病院まで行かなくとも、地域の眼科クリニックで日帰り手術を受けることが可能です。放置すれば失明の危険性もある病気ですが、きちんと診断・治療を受ければ決して怖い病気ではありません。

また、ある眼科医師に話を聞いたところによると、レンズが汚れているだけの白内障患者だと、視力が極めて良好な人もいるのだそう。目の病気と聞くと「視力低下」ばかりを思い浮かべてしまうので、これはまさに盲点でした。

 

物の見え方はQOLに大きく関わる部分であり、認知症予防にもつながるのであればなおさら大事にしたいところ。「見えているから大丈夫」「まぶしくないから白内障ではない」などと自己判断せず、定期的に眼科で検診を受けましょう。