数年前、一大ブームを巻き起こしたココナッツオイルを覚えていらっしゃいますか? 当時、ココナッツオイルを皮切りにアマニやエゴマなどさまざまな機能性オイルが注目を集め、現在ではすっかり定着していますね。機能性オイルという選択肢を一般に広めたココナッツオイルについて、今回は糖尿病との関係を調べてみました。

 

ココナッツオイルはその名のとおりココナッツから抽出される植物油。中鎖脂肪酸(MCT)が多く含まれ、速やかに吸収・エネルギー分解して体にためない点が特長です。大豆油やなたね油などに含まれるのは長鎖脂肪酸で、いったん体に貯蔵され必要があればエネルギー分解されます。

中鎖脂肪酸の分解スピードは、長鎖脂肪酸に比べなんと約4倍。食後3時間で分解のピークを迎え、10時間以内にほとんどが分解されるそう。消化吸収が良く、すぐにエネルギーになるので、高齢者にもぴったりです。中鎖脂肪酸を含む食品には限りがあるため、効率的に摂るにはココナッツオイルが手軽でしょう。

 

そしてブドウ糖のようなエネルギー源となる「ケトン体」は、このMCTから効率的に作られることが判明しています。もともと人間は、現代のような飽食の時代だけを生きてきたのではありません。ですから飢餓状態に陥ったときのため、体に脂肪を蓄え、その脂肪を原料として肝臓でケトン体を作り、エネルギーに変えるシステムを持っています。

脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は、そのままエネルギーに変えることができないため、中性脂肪から脂肪酸が切り離され、血液中のアルブミンと結合します。このとき中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸のように腸管膜内で中性脂肪へ再合成されることなくアルブミンと結合して肝臓に運ばれ、ケトン体としてすぐにエネルギーになります。

 

こうした仕組みを利用したのが「ケトジェニックダイエット」などと呼ばれる方法です。脂肪の燃焼しやすい状態でのダイエットなので、効果が出やすいと人気があります。なお糖があれば、エネルギーとして優先的に糖が使われるため、糖質制限とココナッツオイルなどを組み合わせるとより効率的な減量が望めるそう。『ココナッツオイルで糖尿病が治った』(白澤卓二著)など、ココナッツオイルを活用したダイエット法をまとめた書籍も多数発行されています。

ただし、糖尿病患者の方が中鎖脂肪酸を摂取する際は注意が必要です。高血糖状態や、Ⅰ型糖尿病の方の血液中のケトン体が上昇すると、「糖尿病性ケトアシドーシス」という急性代謝性合併症を発症する可能性があります。危険な状態にもなりかねないので、糖尿病の方は医師に相談してから摂取してください。

これは「ココナッツオイルを摂れば痩せる」という話ではなく、ココナッツオイルに含まれる成分の特性を生かして「ダイエットに役立てる」というもの。食生活は乱れたまま、運動もしないというのであれば、ココナッツオイルをプラスした分だけ太ってしまうかもしれませんね。

 

ココナッツオイルは認知症予防食品としても期待される優れた機能性素材。そのうえ香りがよく、味も美味しいのが特長です。ココナッツオイルの良いところをうまく使って、おいしく健康的な生活を送りましょう。