セサミンときいてすぐに思い浮かぶのは、サントリーからでているサプリメント「セサミン」ですね。ですから、なにか体にいいものだろう、という想像は皆さん簡単につくと思います。そもそもこの言葉は、「セサミ(Sesame)」、つまり、「ゴマ」に由来します。セサミンは、ゴマから抽出される成分なのです。
セサミ、と聞けば、セサミストリートをイメージされる方もおられるかもしれません。派手な黄色い鳥が出てきたりするお話なのに、ゴマがどう関係するのでしょう?実は、「開けゴマ!」という言葉から来ているとのこと。アラビアンナイト(千夜一夜物語)にある『アリババと40人の盗賊』という話で、この「開けゴマ!」という呪文を唱えると、宝物が隠されている洞窟が開く、ということで有名ですね。子供たちが、この知らないことがたくさんある世界のなかで、新しいことを発見していく、というコンセプトでセサミストリートが制作されているということなのです。
では、なぜ、「開け桃!」ではいけないのでしょうか?これにはいろいろな説があるようで、ウィキペディアにも、「開けゴマ」という独立した項目が設けられているほどです1)。ちなみに英語では・・・Open Sesameとそのままですね。一説では、アフリカ原産で乾燥につよいゴマは、中東のどの家庭でも常備されており、熟したときにパカッとはじける様子が、「開く」というイメージにぴったりだったと指摘されています。
一方で、そのほかの説では、ゴマという食材が重要な食材であり、それ自体が宝物として珍重されていた、ということや、ゴマには神秘的な力があるとされていた、というような話があります。実際に、バビロニアでは、ごま油が魔術に使われていたようです。
いずれにしても、ゴマというのは古代から珍重されてきた食材であったことは確かなようです。そう聞くと、もうそれだけで体にいいような気がしてくるのは、人間の性質というものです。そのゴマに含まれる希少成分が「セサミン」であり、ゴマの油のなかに、0.5%から0.7%しか含まれないといわれています。
1858年(安政5年)に香川県小豆島で創業した「かどや製油」という日本の会社は、実は、「40年以上前の1975年(昭和50年)に世の中に先駆けて、ごまセサミンの前身となる『ごまの精』というごまのサプリメントを発売」2)したそうですが、当時はあまり受け入れられずに一旦は終売されたそうです。それがいまになって注目されているというのですから、アラビアンナイトの原型ができたのが9世紀、1000年以上たって、人間は、ゴマの力を利用する新しい段階に達したのだといえるかもしれません。
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