フレイルとは、英語で虚弱を意味する「Frailty」に由来する言葉で、身体的な機能や認知機能の各低下が見られる状態のことをいいます。筋力が低下したり、認知症やうつなどの症状があったり、独居などで社会的なつながりが失われていたりと、さまざまな問題を含んでいるものです。

 

病気や転倒などによるケガ、あるいは事故などで突然に要介護状態になることはありますが、多くの人は健康な状態と要介護の間を指すフレイルを経て「徐々に」介護が必要な状態へと進んでいきます。その理由としては、加齢により筋力が低下し外出が億劫になる、家にこもりがちになると刺激がなくなり、社会的なつながりも失われていってしまいます。また活動しなければおなかも空かず、独居で食事の楽しみを見いだせないこともあって、徐々に低栄養になっていく高齢者も少なくないそうです。この低栄養がさらなる筋力・体重減少を招き、フレイルが悪化していってしまいます。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、低栄養傾向にある65歳以上の男性は10.3%、女性では20.3%、85歳以上だと男性15.1%、女性27.5%といいます。約12万人が参加した大規模コホート研究では、BMIは基準群よりも低い人(やせている人)の死亡リスクが上昇することが分かっており、BMIが低ければそれだけ死亡リスクが高いことが判明しています。一方で男性のBMIが高いこと自体は、総死亡リスクと関連しないとも。唯一BMI30以上の女性のみ、少しリスクが上がるようです。

 

さて、長く生きてくると、糖尿病や高血圧など生活習慣病予防のため、あるいは実際に生活習慣病治療のために、食事を制限している中高年の方は多いでしょう。健康番組でもなるべくカロリーを減らし、シンプルな食事を推奨していることもしばしば。しかしこれが低栄養問題にも絡んできます。

 

そもそも糖尿病はインスリン作用が不足するため、筋力や筋肉量が低下するということが知られています。そうなれば活動量が減少し、フレイルへの道まっしぐら。食事制限は大切なことですが、食べなくていいということではありません。しっかり食べなければフレイルのリスクが高まりますし、特に筋力低下が見られる糖尿病の人こそ、低栄養への注意が必要なのです。

 

摂取エネルギーが足りないと、たんぱく質でそれが補われます。そのため体内のたんぱく質が不足して血管が弱くなり動脈硬化を引き起こすことも。東京都健康長寿医療センター研究所によると、低栄養の人は、高栄養の人よりも、心臓・血管の疾患による死亡リスクが倍以上になるのだといいます。

 

もちろん何らかの疾患があり医師にかかっている人は、医師の指示通りの食事をしなければなりません。しかし「健康に気を付けているの」というのであれば、ダイエットではなく、高栄養のものをしっかりと食べて、しっかり運動することが「健康」なのです。そして糖尿病患者の方は「フレイル」の危険性が、健康な人に比べて高いことを意識し、日々の食生活を見直してみましょう。