生活習慣病とは原因も治療法も大きく異なる1型糖尿病。子どもや若年層に多いとされるこの病気は、膵臓でインスリンを作っているβ細胞が壊されることによって起こるのですが、その原因はいまだ解明されていません。一つには免疫反応が正常に機能していないことで、自分の細胞を攻撃してしまうことにあると考えられています。

β細胞が破壊されると、インスリンを出す力が弱まる、インスリンが出なくなるという状態に陥り、体内のインスリンが不足。インスリン注射治療が必要となります。このβ細胞の破壊は進行性であることが一般的で、病気が進行するとインスリンを出す力がほとんどなくなってしまうそう。注射でインスリンを打ち続けることで依存状態にもなってしまいます。

ただ小児期に1型糖尿病であるとされた場合は、インスリンを作る力がある可能性も。その残された力を引き出すべく、スウェーデンの創薬会社「Diamyd Medical」と米国、スウェーデンなどの研究者らにより免疫を抑えることでβ細胞の破壊を抑制する治療の開発が進んでいます。

 

この研究は、1型糖尿病を発症したほとんどの人が持つHLA遺伝子のタイプを振り分けて、新開発したワクチン「Diamyd」を投与するというもの。1型糖尿病と診断されて間もない521人の患者を対象に行い、特定された2タイプのHLA遺伝子を持つ患者のインスリン分泌がワクチン接種によって保たれたようです。その治療効果比はおよそ1.4倍~1.6倍でした。ワクチンによる抗原特異的な免疫療法で、免疫作用を抑えてβ細胞を保護していると考えられています。

ワクチン「Diamyd」が適応するHLA遺伝子タイプなら、β細胞の破壊を予防しインスリン分泌を保護できるとあれば、1型糖尿病患者には朗報。診断直後からケアできれば、QOLの向上にもかかわってくることでしょう。

このほかにもさまざまな観点からβ細胞を保護する治療や、インスリン産生の再生治療などの開発も進められており、患者にとっては大きな希望となりえそう。1型糖尿病というと小児や若年が発症するものというイメージが強いのですが、実は30歳以降の発症も多いのだとか。誰もがかかりえる病気だからこそ、こうした医学の進歩はとても心強いですね。