ここ数年、よく聞くようになった「eスポーツ」。コンピューターゲーム(ビデオゲーム)の対戦をスポーツとしてとらえるもので、オリンピック競技の種目にも採用される可能性も浮上し注目を集めています。

 

かつてファミコンなどのテレビゲームは娯楽であり、「1時間まで」など制限を受ける家庭がほとんどだったかと思います。しかし、現在はどうでしょう。eスポーツ選手は億を超える賞金を稼ぐプレイヤーも少なくありません。一方で数ミリ・0コンマ秒単位で対応が求められる繊細なスポーツでもあり、反応や対応力は若ければ若いほど有利とされ、選手寿命はなんと20代中盤が中心なんだとか。野球やサッカーと同じ、いやそれ以上に厳しい「スポーツ選手」として世界で認められています。

しかし実際は他のオリンピック種目のように全身を使って競技をするかといえば、その点は異なります。イスに長時間座り、同じ体勢でゲームトレーニングを行うことで腰痛・肩こりなど体の不調がでるほか、視力への障害、運動不足による肥満や生活習慣病など、いわゆる「プロスポーツ選手のケガ」などとは違う危険性があります。トレーニングも試合も基本は屋内で行われるものですから、日光に当たる時間も少なくなるでしょう。こうした面も、選手寿命の短さにつながっているのかもしれません。

そしてゲーム依存の観点から、ゲームのやりすぎを規制しようという動きも。2019年にはWHOはゲームのやりすぎによる「ゲーム障害」が国際疾患として認定。香川県では「インターネットやコンピュータゲームの過剰な利用は、子どもの学力や体力の低下のみならず、ひきこもりや睡眠障害、視力障害などの身体的な問題まで引き起こすことなどが指摘」されていることから、「ネット・ゲーム依存症対策条例」が制定されました。

一方で、こんな研究もあります。筑波大学では今年7月にオンラインでのサッカーゲームによるeスポーツ大会を実施し、参加学生13人に心拍センサーをつけ、試合中に唾液を採取。すると平時には毎分平均60~70だった心拍数が、対戦中はウオーキングをした場合と同程度の100回以上に。適度な運動で分泌されるという男性ホルモン「テストステロン」の唾液中濃度が、試合直後に上がったことも確認したそうです。

心拍数が毎分100回程度になるとダイエットや脳機能向上の効果をもたらすといわれ、eスポーツが健康へプラスの作用をもたらすであろうことも示唆されました。介護施設やリハビリ施設でもeスポーツが導入されているところもあり、現在のコロナ禍ではすべての人がフィジカルの距離を取りつつスポーツ対戦を通じて人との交流を楽しめる「スポーツ」でもあります。神戸市では全国に先駆けeスポーツプロジェクトを発足。eスポーツの推進のほか、シニアの健康管理などに活用するための検証を行っています。

健康にいい面と悪い面、現状ではどちらも否定できません。しかしプロeスポーツ選手をめざすのでなければ、適度に楽しむことで“良いところ取り”ができそうですね。屋内にいながらできるeスポーツは、「Withコロナ」時代の人と人をつなぐ重要なコンテンツともなるかもしれません。「ゲームばかりしてはいけません」が、「1日2時間はeスポーツをしなさい!」という時代が来る日も近いかも?