人は日々さまざまなストレスを感じて生きています。ちょうど1年くらい前からは「新型コロナウイルス感染症」に関する悩みや不安などが加わり、よりストレスフルな毎日を過ごしているという人も多いでしょう。特に糖尿病など環境因子が発症・憎悪に関わる生活習慣病患者の方にとっては、仕事・家庭内・人間関係などのほか、治療や生活習慣改善、病気そのものへのストレスなど、より多くの不快感を覚えているかもしれません。

そもそも糖尿病はストレスによって発症リスクが高まり、そしてストレスによって悪化します。「コロナうつ」という新語も生まれましたが、うつ状態と糖尿病は合併しやすいのが特徴といいます。健常な人に比べて、その可能性は約2倍にも。その症状には相乗効果があり、ストレスを感じてうつ病になると、糖尿病へとつながっていくというのです。

そしてすでに糖尿病と診断されている人については、特に注意が必要です。血糖コントロールがうまくいかないと、合併症リスクが高まり、合併症の症状にも悩まされるようになります。ストレスを感じたときに生じるストレスホルモンは、インスリン抵抗性を増加させたり、血糖値を上昇させる働きがあったり、内臓脂肪を蓄積させたりと、糖尿病に対して悪影響を及ぼします。

 

また糖尿病患者の方に限らず、強いストレスを感じると行動面でも変化が現れる人も少なくないでしょう。ストレスによって過食や多量の飲酒に走ったり、喫煙本数が増えたり、頑張って続けてきた運動習慣がどうでもよくなってしまったり。生活習慣改善や糖尿病治療に疲れて中断してしまうことで、肥満や内臓脂肪の蓄積が助長されてさらに血糖コントロールが悪化してしまうというのです。ですから、ストレス解消方法を考え直すことで、うまくストレスと付き合っていくことが重要になるというわけです。

ストレス解消法には男女差があり、男性は飲酒、女性は過食の傾向があるそう。これをストップするためには、前向きに生きていくための「問題焦点型対処行動」と、適切に気分転換を行う「情緒焦点型対処行動」をバランスよく行うことが重要だといいます。

問題焦点型対処行動とは、例えばストレスの原因となる人も多い「禁煙失敗」ならば、一人で頑張ろうとせず禁煙外来にかかって医師と一緒に乗り越えて“ストレスの原因”そのものを解決します。ストレスの素がなくなれば、すっきりした気持ちでまた明日も頑張れるはず。

 

そして情緒焦点型対処行動は、ストレスの原因を除去するのではなく、ストレス原因はいったん忘れて友人と旅行に行ったりカラオケを楽しんだり。俗にいう「気晴らし」ですね。家に閉じこもっていては、ついつい余計なことを考えがち。友人と思い切り楽しい時間を過ごすことで、ストレスが解消できます。また一人では続かない運動も、誰か一緒に行う人がいれば、続くかもしれません。こうしたコミュニティを形成しておくことは認知症予防にも有効です。

 

このほかにも最近話題になっている「マインドフルネス」、ヨガ、禅など東洋的なリラクゼーション法もあります。また禁煙外来に頼るのと同じく、心療内科や精神科などを受診して、話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることもあります。上手に活用して、ストレスを前向きに受け入れることが大切なようです。

本日のブログは、茨木市保健医療センター所長であり、内分泌代謝を専門とする心療内科医師である深尾篤嗣氏による「ストレスと糖尿病」(日本糖尿病学会月刊誌「さかえ」2021年1月号)を参考にさせていただきました。気になる方はぜひ本誌をお読みください。