先日ご紹介した「糖尿病とストレス」。参考にした日本糖尿病学会月刊誌「さかえ」2021年1月号には、もう一つ気になる特集が載っていました。それが本日のタイトルにある「ミトコンドリアと糖尿病」です。

 

皆さんは『ミトコンドリア』にどんなイメージをお持ちですか? 私は「映画や小説などのテーマとなっていて、人類滅亡の危機」というもの(笑)。特定の作品ではなく、そして『ミトコンドリア』の正体はさておいて、とにかく『ミトコンドリア』自体にそんなイメージをずっと抱き続けています。

それでは『ミトコンドリア』とは何なのか。特集によると、人間の細胞内に共生し、食事から摂取した糖や脂質を分解してエネルギーを作り出してくれているのが『ミトコンドリア』です。大昔から人の細胞内に寄生した細菌なのだとか。寄生したミトコンドリアが発生させたエネルギーを使って進化してきた人間は、そのまま体の一つの器官としてミトコンドリアを取り込んだのだそう。一つの細胞になんと数百個から数千個も寄生しているといいます。

エネルギーを作り出すミトコンドリアの元気がなくなったり、死んでしまったりすれば、当然体に不調が現れてきます。そして膵臓内にいる『ミトコンドリア』がインスリンの正常な分泌にも関わります。ミトコンドリアの調子が悪いと、きちんとエネルギーが作られず、インスリンを十分に出すことができなくなり血糖値が上昇してしまいます。糖尿病疾患の約1%が、このミトコンドリアを原因とする「ミトコンドリア糖尿病」だといいます。

そしてミトコンドリアも生き物ですから、老化し衰えます。そもそもの老化の原因はこのミトコンドリアの機能低下という説も。ですから加齢とともにインスリンの分泌が鈍くなって、年がいくと血糖値に異常が出やすくなります。この原因の一つには、ミトコンドリアが出す活性酸素も影響しているとのこと。というのも、ミトコンドリアはエネルギーを作り出す際に活性酸素も生み出すのですが、生み出された活性酸素がミトコンドリア自身をも傷つけてしまう…という負のスパイラルが発生するから。なんだか切ない話です。

ただ、それならば「ミトコンドリアが生み出す活性酸素を予防すればいい」ということで、今秋にもミトコンドリアの機能を改善する「イメグリミン」と呼ばれる薬が発売予定だそうです。インスリンの分泌不全とインスリン抵抗性の両方の改善が期待でき、それに伴い血糖値が改善できるという、待望の新薬です。同薬は、細小血管・大血管障害の予防、膵臓β細胞の保護作用などの可能性も示唆されていて、大きな期待が寄せられています。

 

ミトコンドリアは筋肉や肝臓などあらゆるところにたくさん存在します。であれば、ミトコンドリアを元気にできれば、健康で若々しいままでいられるはず。私たちの体の中で共に生きているミトコンドリアたちに感謝しながら、バランスのとれた食事、適度な運動、良質な睡眠を日々意識して実践しましょう。