脳アミロイドアンギオパチーは、高齢者が何回も繰り返す脳出血の一つ。アミロイドが脳の血管に沈着する病態で、脳虚血や大脳皮質などに限定した多発性の出血を引き起こし、血管性認知症の原因にもなります。発症は加齢とともに増えていき、一説によると60代で3割程度、70~80代で5割、90歳以上では7割と超えるといいます。

この出血を繰り返すことで脳血管性認知症が進行していくこともありますが、そもそもアルツハイマー病を合併するなどその関連が指摘されています。脳アミロイドアンギオパチーは沈着するアミロイドの種類によって分類されるそうですが、特にアミロイドβが多く、アルツハイマーの患者の実に8割以上に脳アミロイドアンギオパチーが見られるそう。なお、アルツハイマーと脳血管性の混合型の認知症もあります。

高血圧性脳出血は脳の深部で出血を起こしますが、脳アミロイドアンギオパチーは高血圧の有無に関係なく、表面に近い皮質から皮質下で出血する特徴があり、その場所により頭痛・麻痺・失語・視野欠損・高次脳機能障害など、いろいろな症状がみられます。またアミロイドβが沈着した血管周囲の炎症により亜急性白質脳症をきたすことも。この病態を脳アミロイドアンギオパチー関連炎症といい、免疫抑制療法が有効だとされています。

それではなぜ出血が起こるのかというと、遺伝子的なもののほかに抗血小板薬、抗凝固薬の使用などが挙げられますが、最近の研究では関連のあるアルツハイマー病に対するアミロイドβ免疫療法で、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血や炎症が誘発される可能性があることが示唆されているそうです。要するに脳アミロイドアンギオパチーには有効とされる治療法があるものの、合併していることが多いアルツハイマー病の治療により脳出血・炎症が引き起こされる可能性があるということです。

人体とは本当に不思議なもので、アルツハイマーと脳アミロイドアンギオパチーは深く関連しているけれど、同じ方向は向いていないということでしょう。ですからやはり「予防」が一番大切で、アルツハイマーにも脳アミロイドアンギオパチーにも「ならない」ことが最重要。そして遺伝子的な部分は対処できませんが、その原因の一つとなる血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬を使わない、生活習慣病などとは無縁な体を維持していく必要もあります。

病気同士はつながっていないですが、結局体はつながっているということですね。もちろん生活すべてを「健康」にシフトできればいいのですが、忙しい現代人はそんな簡単に変えるのは難しいこと。ですから無理は禁物。普段から意識をしつつ、できるところはする、できないところは諦めるなど「サスティナブル」な健康生活を送ることで、10年後20年後に大きな差が出てくるはずです。