世界の80以上国々で取り入れられているという補完・代替医療「ホメオパシー」。ホメオパシーの理論をを体系化した医師・ハーネマンの本国であるドイツでは、8割近くの医師が処方するなど盛んで、ヨーロッパでは、日本や中国における「漢方薬」のような扱いを受けています。

このハーネマン医師は、当時マラリア治療薬を自らに投与して、マラリアと同じ症状を発症したことから、「健康な人に同じような症状をもたらす薬」によって、すべての病気が治療できると考えたそうです。しかもその薬は薄めれば薄めるほどより効果があるとされました。

ホメオパシーは「副作用がない治療法」として広く知られています。本来体に備わる力に働きかけて回復させるという考え方で、一般的にレメディーと呼ばれる治療薬が存在。その半数以上が植物が由来で、そのほかには動物や鉱物が用いられています。まずは植物などをを水で100倍希釈、振盪させる作業を繰り返したのち、最終的に極端に希釈された水を砂糖玉に浸み込ませて完成します。

ほとんど元の物質が存在しないのに、なぜその治療薬が効くのかというと、「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っているため」とのこと。にわかには信じがたく、2010年8月には日本学術会議の金澤一郎会長が談話を発表しホメオパシーの効果を明確に否定、日本医学会も賛同しています。

ほとんど物質が残らないくらいに希釈しているので、当然副作用はありません。金澤会長はそのぶん治療効果もあるわけがないと発言しています。日本では助産師のホメオパシー指導を受けてビタミンKを投薬しなかった乳児が亡くなり、訴訟に発展したことも。なんの効果もないだけならまだいいのですが、正しい治療で治るものが治らなくなってしまうことがあることが、この代替医療の怖いところです。そのため、日本学術会議、そして日本医学会などが警鐘を鳴らしているのです。

一方で「プラセボ」のような心理的効果は否定されていません。先日読んだある日本人医師は、西洋医学・東洋医学・ホメオパシーとさまざまな医学を考慮しながら、ホメオパシーを取り入れているといいます。それは「がん」患者に。本来提供されるはずの標準医療に希望が持てないがん患者のために利用している、とあるインタビューで語っていました。もちろんこの医師は「プラセボ」とは言っていません。しかし、藁にもすがる思いの患者のために、利用しているということでしょう。

 

とはいえ、世界でも広く用いられるホメオパシー。日本では「科学的根拠はない」とされていますが、毒にも薬にもならないのであれば、ここまで長い間、存在するわけがありません。いつかそのチカラの根拠が明らかになる日がくるのでしょうか。