東京五輪の聖火リレーが続いています。現在のコロナ禍では聖火リレーの是非、というよりもオリンピック開催そのものの是非が議論されています。当初からさまざまな意見があった五輪開催ですが、このような状況になってしまい残念で仕方ありません。

 

1964年の東京五輪、まだ日本が“グローバル”ではなかった時代。これを機に生まれた日本発のデザインが「トイレ」を示す男性と女性のマークです。今はジェンダーの問題もあり、青・黒=男性、ピンク・赤=女性という色分けがなくなりつつあるとのことですが、一目みて「男性用トイレ」「女性用トイレ」とわかるピクトは、世界中で採用されています。これがまさにユニバーサルデザイン。その概念は1980年代にアメリカで生まれたものですが、日本ではそれより以前に生み出していたことになりますね。

ユニバーサルデザインは「誰もが公平に使用できる」「使い方が簡単ですぐわかる」「楽に使用できる」など7つの原則があります。バリアフリーとの違いは「誰にでも優しい」こと。例えば段差の解消などは主に車いすの方や足の悪い方への物理的な配慮としてバリアフリーと呼ばれますが、ユニバーサルデザインは子どもから高齢者まで、障がいがあってもなくても、すべての人に対してのものになります。

そのなかで、認知症の方々のこともしっかり考慮したユニバーサルデザインが増えてきています。世界では認知機能が低下した人のためのデザインを考案する専門機関もあるといい、デザインが認知症の方々の生活を支える役割があると考えられているそうです。

 

例えばトイレ。文字で「トイレ」と記したり、男女のピクトを表示するだけでなく「トイレの形」がわかる絵や写真を掲示することで、トイレと認識・理解しやすくなるのだとか。また鮮やかな赤や緑などの色を使った食器は、認知症の方の空間認識力を補い、食べ物を食べやすくする効果も。無地の服はどこが袖でどこが首回りなのか、認識しづらい認知症の人のためには、かぶって着るのではなく羽織ってマジックテープでとめるなどの工夫がされた洋服を。海外では認知症の人とその介護者が楽しむ2人乗り用自転車イベントもあるそうです。

こうしたユニバーサルデザインは、認知症の方々が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会をサポートしてくれるもの。ただ、事例を見ていると、例えばトイレの形の掲示など必ずしも「製品」である必要はないでしょう。すべての人が一歩踏み込んで考え、その配慮を形にしようと努力することこそが、認知症の方はもちろん誰もが暮らしやすい社会の実現への近道かもしれませんね。