私たちの体は、食べたものでできています。例えばダイエットをする際、カロリーを消費するよりも、カロリー摂取を制限したほうが根本的にラクなわけです。もちろん運動は筋肉をつくり痩せやすい体にしてくれますし、体のラインも引き締まります。健康を考えれば運動は必須ですが、「カロリー」という観点から見れば食事を正すことが先決。ショートケーキ1個が300キロカロリーだとすると、運動でそのぶんを消費しようと思えばジョギング30分+縄跳び10分くらいでしょうか。もちろん人間は生きていくためのエネルギーが必要ですし、すべてが吸収されるわけではありません。しかしケーキたった1個、5口くらいの快楽のために、とんでもない努力が必要になるのです。

運動は1週間・2週間とサボっても短期的には問題ありませんが、食事を1~2週間サボる人(食べない人)はいないでしょうし、実際にサボったらおそらく体を壊します。というわけで、やはり「健康」を考えたとき、真っ先に整えるべきはやはり食べ物です。10年ほど前から「認知症予防になる食材」などが頻繁にメディアに取り上げられるようになりました。多くの人の記憶に残っているのは、ココナッツオイルでしょうか。

 

しかしココナッツオイルがあっても、これまで使ったことのないアイテムを毎日きちんと摂取するのは難しいと思います。ましてや日本には食事に直接オイルをかけて食べるといった習慣がなく、特に認知症が気になる世代の方々にとっては使用が難しいものでした。そして結局は一時のブームで終わってしまっています。これは認知症予防に限らず、「●●疾患に効く」と言われるような食材すべてが同じ傾向にあります。

そこでおすすめなのが特定の食材を食べるのではなく、食事スタイルそのものを取り入れる方法。イタリア、ギリシャなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統料理「地中海食」は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の予防と改善に有効で、心筋梗塞・脳卒中などの心血管疾患、さらに認知症予防にも効果的であることがわかっています。先日もドイツで行われた研究により、この「地中海食」に近い食生活を起こっている人ほど、アミロイドβやタウタンパク質の蓄積が少ないことが報告されました。

 

この地中海食の特徴は、野菜・なるべく未精製の穀物・豆類など植物性食品で、デザートを食べるなら果物かナッツ。卵は週の半分くらい、チーズやヨーグルトも適量摂取しましょう。さらにオリーブオイルと魚介類を適度に、赤身肉は控えつつ、お酒は赤ワインを少量嗜む…といった具合です。「それができたら苦労しないよ」という声も聞こえてきそうですが、毎日「体に良い」と言われるイチ食材をどう食べようか思案するよりも簡単そうです。白米に雑穀を混ぜ、パンを買うなら全粒粉のもの、間食は果物やナッツなどをいただきましょう。たまにはハチミツ入りのスイーツで甘いもの欲求も満たせます。

「●●を毎日食べる」「食生活改善」と聞くとかなりハードルが高くなりますが、この地中海食の考え方を頭に入れておけばOK。例えば外食の際にも白ごはんではなく雑穀ごはん、おかずならお肉ではなくお魚を選び、間食したくなったときはコンビニでナッツを購入。お酒もなるべくワインを。小さなことでも毎日の食事の積み重ねが、認知症予防につながります。