誰もが「なりたくない!」と考えている認知症。先日、認知症を「治療」できる薬がいよいよアメリカFDAで認可されましたが、やはり「ならない」のにこしたことはありません。しかし長年の積み重ねが認知症のリスクを高めることは分かっていても、なかなか行動に移せないのが人間でしょう。身近な人が認知症になるなど、他人事ではなく「自分事」として捉えられたとき、はじめて人はようやく重い腰を上げるものです。

 

インターネットで調べ物をしていたら、こんな記事を見つけました。国内のアルツハイマー型認知症の医療や介護に要するコストが、実は年間12兆円以上もかかっているということ(!)もちろんこれは家族による“無償の介護”も換算されたものですが、なんとこれだけの負担が、日本国民、そして当事者家族らにかかっているのです。

国際医療福祉大学の池田俊也氏らの研究で「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載された報告によると、疫学、QOL、要介護・在宅介護の状況、生産性の低下などの実態を把握し、家族らの無償介護やそれに伴う生産性の低下をコストに換算し、先ほどの数字が出てきたそう。医療費としてはアルツハイマー型認知症治療薬が年1508億円、医療費が9225億円で計算すると、国内アルツハイマー型認知症患者の1人当たり年間約30万円。家族の介護における労働損失・離職・家事労働の低下は1兆5000億円をゆうに超え、介護コストは年間7兆円に迫るいきおい。これらを合わせて計算すると合計12兆6283億円で、アルツハイマー型認知症の人1人当たり年間約350万円と推測されています。

給料が上がらないと言われるいま、正規社員の平均給与503万円で手取りが393万円と言われていますから、年350万円がとんでもない金額であることがわかります。今後も超高齢社会は進行していくわけですから、おそらくよほどのことが起きない限り、この状況は年々悪化していくはず。いまの子どもたちが働きざかりになる頃には、どうなっているのでしょう。

 

実際には家族の無償介護も入ってのコスト計算ですから、「他人事」かもしれません。しかしそれと同じように医療費など公的資金も使われています。さらに昔と違い多様な人生が受け入れられるようになった一方、「おひとり様」が多くなって、家族から介護を受けられる見込みのない人も増えるでしょう。どんどん医療費の負担が増していくはずです。

 

そして自分がもし認知症になったら…。そう、これだけの負担を家族にかけるのです。いま生きている人の人生の中で、最も若いのは今日。家族のために、社会のために、認知症予防への取り組みをはじめましょう。