戌年だった2018年に巻き起こった空前の猫ブームから、早数年が経ちました。しかしその人気は衰えを知らず、犬飼育頭数を上回る「ペットの王様」として、猫は盤石の地位を築いています。YouTubeやSNSなどを開けば、頻繁に目にする「うちの子自慢」。無条件にかわいい猫ちゃんたちを見ていると、コロナ禍で疲れた心が癒やされます。

 

そんな猫ちゃんたちの死因の3割は腎臓を含む泌尿器関連病。2016年に猫が腎臓病となる原因を突き止めた東京大学の宮崎徹教授の研究チームが新薬開発に取り組んできましたが、先日新型コロナウイルス感染拡大により研究費不足に陥ったとの報道がされたのです。が、なんと1週間で1億円を超える寄付が集まったのだとか!新薬が誕生すれば、猫の寿命30歳になる時代も到来するかもしれませんね。

さて、腎臓病に苦しんでいるのはもちろん猫様だけではありません。人間の慢性腎臓病(CKD)は1300万人超と推測され、成人の8人に1人が該当すると言われています。尿・血液・腹部超音波・CTなどの検査で腎障害や腎臓機能の異常があることが判明し、3ヵ月以上その状態が続いていることを言います。理由は糖尿病・高血圧など生活習慣病、加齢、慢性腎炎などでの腎臓機能の低下。例えば糖尿病は腎臓内の血流が正常でなくなり、ダメージを受けてしまいます。すると尿にタンパク質が混じり、尿を作り出すことが困難に。余分な塩分・水分・老廃物が体に蓄積されていきます。心血管疾患や感染症リスクも上がっていくともいわれます。

 

さらに今年5月「Neurology」に掲載されたCKDに関するスウェーデンの研究論文では、慢性腎臓病と認知機能の低下の関連について述べられています。65歳以上の32万9822人を対象に5年間の追跡調査を行ったところ、5.8%の人が認知症を発症。腎臓が1分間にどの程度、尿のもとを作ることができるかがわかるeGFR(推算糸球体ろ過量)が正常な人の認知症発症率は1000人あたり6.5人程度、eGFRに問題がある人は同30人と認知症発症率が高かったそうです。

認知症リスクを高めるとされる喫煙・飲酒、糖尿病や高血圧などの個人の習慣や既往症を調整して分析したところ、腎臓が1分間にどの程度、尿のもとを作ることができるかがわかるeGFR(推算糸球体ろ過量)が少なければ、軽度の腎機能低下で1.7倍、中等度以上の腎機能低下で2.6倍にもなるとのこと。そして腎機能低下が貴院した認知症発症リスクは、糖尿病など認知症リスク因子よりも「影響が強い」と考えられるそうです。

 

慢性腎臓病はむくみや血尿、疲れやすいなど変化はあるものの、自覚症状が乏しく気づいたときには重症化している人も少なくないそう。生活習慣病との関連が強く、さらに認知症のリスクも高める慢性腎臓病。腎臓はある一線を超えると、自然治癒は難しいため注意が必要です。生活習慣の改善、早期発見・早期治療で、「新たな国民病」であるCDKを食い止めましょう。