先日、アメリカでエーザイとバイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬が、条
件つきながら承認されました。これまで認知症は進行を抑制することしかできなかったた
め、根本的な治療ができる薬には大きな期待が寄せられています。一方、新薬はそんなに
簡単に認可されるものではありません。私たち日本人が保険適用で投与されるまでにはま
だまだ時間がかかるでしょう。

しかし認知症は待ってくれません。あらゆる病気に共通していることですが、認知症も早
期発見・早期治療がとても重要です。進行抑制の投薬もそうですし、将来を考えた介護サ
ービスの導入など、早いうちから準備しておくことで選択肢が広がり、介護者の負担も大
きく変わってきます。

ところが認知症は患者自身に自覚症状があることはまれですし、家族も毎日一緒にいれば
その変化に気がつきにくいこともあります。また、家族が「なんか変だな」と思ってもそ
れが認知症の症状だと知らない人も多く、受診につながらないケースもあります。

さらに初期診断には知識を有する専門医、CT・MRIなど高度検査機器と熟練の技術が必要
で、認知症を専門としないかかりつけ医を受診して、診断を受けられるわけではありませ
ん。仮に受診にこぎつけたとしても、専門医にアクセスできるかどうか、アクセスできた
としても経験や知識の差による診断の違いが生じる可能性もあります。

そうした診断の差を埋めるためのソフトが「脳画像解析プログラムBraineer(ブレイニア
)」です。頭部のMRIから脳の萎縮を定量・数値化して診断支援を行うもの。見た目では
分かりにくい脳の状態や脳の萎縮を、誰もが同じように判断することをサポートします。
そして先日、この「脳画像解析プログラムBraineer(ブレイニア)」の薬事認可を取得し
たのが、医療AIのスタートアップ・Splink社。医療機関やクリニックにAIを活用した脳ド
ック用プログラムを提供し、それで得られた知見を用いてBraineerを開発したといいます。

初期段階の診断見逃しを防げれば、進行抑制はもちろん、将来的には早期「治療」に取り
掛かることができるようになるはず。いつかは人類が認知症を克服し、最後のときまで自
分らしく生きられる時代が来てほしいものです。