認知症は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、レビー小体型認知症ほかさまざまな原因があり、それぞれ特徴が異なります。例えばアルツハイマー型認知症であれば「物盗られ妄想」「徘徊」などがよく知られた症状で、脳梗塞・脳出血などが原因の脳血管性認知症は「感情のコントロール不能」「遂行機能障害」、レビー小体型認知症は「幻視・妄想」「視空間認知障害」などが特徴にあります。また認知症の前触れとして「うつ」状態が挙げられることも少なくありません。

 

「うつ」と聞くと気分が落ち込み、やる気が出なくなるイメージです。うつ症状は人によりさまざまですが、この代表的な「気分の落ち込み」「やる気の消失」自体は、すべての人が経験したことがあるでしょう。そしてうつ病はそれが進行し「これまでできていたことができず、日常生活に支障が出てしまうこと」。では認知症の「うつ」状態と、高齢者の「うつ病」の違いはどこにあるのでしょうか。

うつ病になると、これまでできたことができなくなったことにより、自宅に引きこもりがちになる人もおり、高齢者の場合は「認知症」と間違えられてしまうことがあります。しかし「うつ病、認知症のどちらでもない」「認知症ではなくうつ病である」「うつ病ではなく認知症である」「うつ病と認知症が合併している」の4パターンがあり、それにより服薬治療なども含め対処が異なってきます。

 

もちろん専門家の診断を受けることが最優先ですが、高齢者のうつ病と認知症の見分けるポイントに「きっかけがある」「初期症状が違う」「進行状況が違う」などがあります。うつ病の場合は親しい人が亡くなるなど発病に際し何らかのきっかけがあり、初期症状は食欲の低下や睡眠障害などが見られます。一方、認知症の初期には記憶障害が見られますが、集中力の低下により物覚えが悪くなったうつ病患者と違い、「物忘れを否定する」という傾向があるそうです。

 

そのほか、うつ病にも認知症にも共通する「妄想」にも違いがあります。うつ病は経済的な不安からくる「貧困妄想」、体の不調に不安を抱える「心気妄想」が特徴的。一方の認知症は、物が誰かに盗まれた、盗もうとしていると思い込む「物盗られ妄想」が有名です。

 

進行状況にも違いがあり、うつ病は大きなストレスがきっかけになるため、数週間・数ヵ月という短い期間に進行します。ところが認知症であれば、特にアルツハイマー型やレビー小体型なら、脳の変性と同様に数年かけてゆっくりと進行するのが特徴だそうです。

 

これらはあくまで参考です。家族にこういった症状が現れたら、速やかに専門機関を受診しましょう。うつ病であろうと、認知症であろうと、早期診断・治療(進行抑制)が必須。早めの対処が、患者本人にとっても支える家族にとっても、プラスに働くことは間違いあり