自分ではほとんど気がつくことのできない「いびき」。家族から指摘されたことはありま
せんか? 風邪などによる一時的な鼻詰まりならよいのですが、日常的にいびきをかいて
いるのなら、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、日本国内に約500万人いるとされています。睡眠中に無呼吸だっ
たり、あるいは低呼吸を繰り返すもので、十分な睡眠がとれずに日中に眠くなったり集中
力が欠如したりします。日常生活に支障はきたすものの、それ自体に痛みがあるわけでは
なく、発生したその日に命に関わるというわけでもないため、受診につながらないケース
も多いといいます。ですから潜在患者のうち、鼻マスクを用いた治療法「CPAP療法」を受
けているのは50万人ほどなんだそうです。

その原因にはさまざまありますが、多くは首回りに脂肪がつき、空気の通り道である気道
を狭めて呼吸がしづらくなっているためだといいます。他には顎が小さく、舌が収まりき
らずに下がって気道を塞いでしまう、脳や神経などに異常があるなど。肥満の人に多くみ
られる病気ですが、痩せ型の人も舌の位置や脳・神経による発症は考えられ、体型だけで
は判断できません。いずれにしても睡眠中に10秒以上の無呼吸といびきを1時間あたり5回
以上繰り返す場合は、睡眠時無呼吸症候群です。

呼吸が一時的に止まることで、コロナ禍でよく聞くようになった「酸素飽和度」が低下し
ます。血中の酸素が不足することで深い眠りが取れず体が休まらないだけでなく、気分の
落ち込みや、進行すれば高血圧や動脈硬化を促進し、心筋梗塞などの合併症を引き起こす
リスクも高まります。

そしてアメリカでは、血液中の酸素が減少した状態=低酸素ストレスを与えると、脳内の
アミロイドβが増えるという研究報告もされています。「脳へのアミロイドβ蓄積」とい
えば…そう、アルツハイマー病です。日本国内でのある調査では、111人の認知症患者の
大半が、睡眠時無呼吸症候群だったそう。そして「無呼吸」判断の数値が悪ければ悪いほ
ど、認知症症状も重いことが判明しました。

体内の酸素が足りなければ、脳にも十分な酸素が回らずダメージが蓄積される…考えれば
当然なのですが、即座に影響があるわけではないのであまりピンとこないというのが本音
です。しかしこうした悪影響の積み重ねが、将来の自分の健康に深く関わってくるのです
。肥満が理由の睡眠時無呼吸症候群であればダイエットをしたり、寝ている間も鼻マスク
で空気を送り込む「CPAP療法」で治療を受けたり。また舌根の位置に問題があればマウス
ピース療法での治療など、さまざまな対処が考えられます。

日中の強い眠気は仕事のパフォーマンス低下はもちろん、車の運転中や機械の操作中に睡
魔が襲えば大事故にもつながりかねません。将来、認知症をはじめとしたさまざまな疾患
のリスクにもなるものですので、いびきを指摘されたらすぐに受診し、原因を突き止めて
治療に進みましょう。