誰もがかかる可能性のある認知症。高齢者特有の症状だと思われがちですが、最も多い「アルツハイマー型」をはじめとした認知症は、実は若い世代にもみられます。若い世代のアルツハイマー病の若年性”の定義は18~64歳。30歳以降は5歳ごとに有病率が倍になっていく傾向があるとされ、40代~60代前半での発症が多いといいます。

かつて『私の頭の中の消しゴム』という大ヒット韓流映画がありました。この主人公は若年性アルツハイマーで、この映画によって「若い人も認知症になることがある」と知った人もいらっしゃるかと思います。余談ですが、同映画の原作は永作博美さん・緒方直人さん主演『Pure Soul〜君が僕を忘れても〜』という日本のドラマなんだそうですよ。

 

若年性認知症で最も多いのが前述した通り「アルツハイマー型」で、同じくらい脳血管性認知症も多くなっています。この脳血管疾患はクモ膜下出血、脳梗塞など。働き盛りでも発症する病気の後遺症として認知症症状が出てくるそう。また若年性認知症は遺伝も多いとされ、実際に先ほどの日本のドラマでも、遺伝する確率が高い中での出産についての葛藤も描かれているとのことです。このほかの発症要因は、高齢者の認知症と同じく生活習慣の乱れや生活習慣病、アルコールの過剰摂取や喫煙が挙げられます。

 

主な症状は、高齢者の認知症と同じ。食事をしたことを忘れてしまうなど記憶障害や、日付や現在地がわからなくなる見当識障害、外出時のルーティーン(ガスの元栓を閉め、電気を消し、鍵をする)などの行動ができなくなる実行機能障害、計算ができなくなるなど理解力や判断力の低下ほか、感情がコントロールできなくなるといった症状があります。

 

周辺症状としては徘徊や妄想・幻視・幻聴、無気力、うつ症状。若いだけに体力があるため、徘徊すると遠くまで行ってしまう、感情のコントロールができず暴れてしまうなど、介助者が大変な思いをすることも。特に若い世代でうつ症状が出ても、認知症には結び付きにくいため、別の精神疾患と判断されてしまい早期治療にたどりつけない可能性もあります。物忘れの有無や理解力の低下などの自覚症状、家族が感じた違和感など、受診の際に伝えることで正確な診断につながります。

一度発症すれば現時点では「治療」するすべのないアルツハイマー型認知症。ただし、進行を食い止めることはできます。若いぶん脳の萎縮スピードが速いとも言われますが、有酸素運動を取り入れる、よく噛んで脳に刺激を送るなど、高齢者に比べ若い世代のほうが取り組みやすいリハビリもあります。またアロマの「香り」を嗅ぐことで脳に刺激を与える「脳活」も注目を集めています。

 

誰もがかかる可能性のあるといっても、高齢になってからとは限りません。「何かおかしいな」と思ったら、まだ若いからと過信せずさまざまな可能性を考え、早めに受診するようにしましょう。