最近発売された「認知症の私から見える社会」という本をご存知ですか。

これは39歳でアルツハイマー型認知症と診断された丹野智文さんの著書で、認知症当事者からみた「本音」が書かれたものです。

現代ビジネスのWEBサイトでは、同書のなかでも特に注目の章がピックアップされています。

 

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87319

 

丹野さんは35歳頃から物忘れを自覚し始めたそうですが、アルツハイマー型認知症と診断されたのは39歳。診断がつくまでも、診断後も、同じ会社で仕事を続けながら、7年間で300人以上の認知症当事者と対話し、講演活動なども行ってきたそうです。

 

そんな丹野さんが訴えるのは、「認知症だからといって何もわからないわけでも、できないわけでもない」ということ。中には認知症が急速に進行する人もいるかもしれませんが、一般的に診断翌日から家族の顔を忘れてしまう、会話が成り立たなくなってしまう、なんてことはありえません。徐々に長い年月をかけて進行していくケースがほとんどです。

丹野さんの場合は、勤め先の理解があり部署を異動して今も仕事を続けています。認知症による物忘れは進行しているようですが、自身の物忘れの傾向を分析しながらミスのない仕事をめざしているそう。ご自身の並々ならぬ努力と決意が背景にあるとはいえ、進行が早いとも言われる若年性認知症の診断から8年経っても、社会で活躍し続けています。

 

特に丹野さんが苦言を呈しているのが、家族の発する言葉。「この人は認知症になってしまったから」「話すことがいつも間違っているの」「介護している私はとてもたいへん」など、介護疲れから家族が他人にポロリと漏らしてしまう本音です。

 

もちろん発言自体が問題なわけではなく、ただ「本人はどうせわかっていない」「本当のことだから言ってもいい」という姿勢と、本人を前に声に出してしまうことが問題だといいます。話をしていても「それは間違っているよ」と訂正されてしまったり、介護してくれている家族が「認知症は本当にたいへん」と事実だとしても目の前で言い出したら、当事者はどう思うでしょうか。話したり外出したり笑ったり、“本来ならばできること”を自らの意思で放棄してしまうかもしれません。

 

誰もが当事者になる可能性があり、関係者になる可能性も高い認知症。いつか自分の身の周りでおきたとき、当事者の直面している問題を知っているだけでも、本人もその家族もよりよい生活が送れるはずです。ぜひ丹野さんの著書を読んでみてください。