人間が生きていく上で欠かせない「食べる」「飲む」。生命を維持するという面はもちろんですが、美味しいものを食べたり飲んだりすることは、人生における大きな楽しみの一つでもあります。

 

この食べる・飲むという動作は、多くの人にとっては物心ついたときにすでに獲得しているもの。見て嗅いで食べ物を認識し、口に運び、かみ砕き、飲み込む……これらを特に意識せずに食事をしている人が大多数だと思われますが、アゴや舌をはじめさまざまな神経や筋肉が複雑に協働して、食事を取っています。この動作がうまくいかないとき、「むせた」「気管に入った」状態になります。

 

若く健康なときは、口周りの筋力もあり、神経伝達にも不安はありませんが、加齢とともにその力が失われ、飲み込むことに支障がでる「嚥下障害」となります。そして嚥下障害が引き起こすのが、「誤嚥性肺炎」です。

誤嚥性肺炎は、食道から胃にいくはずの食事や唾液が正常に送られず、肺や気管に入る「誤嚥」から、細菌が肺に入って肺炎化してしまう病気。厚生労働省の調査によると、誤嚥性肺炎は日本人の死亡原因第6位(令和2年※)で、毎年多くの人が亡くなっています。

 

原因は加齢による歯の不具合や筋力低下などのほか、ストレスなどの心理的要因が絡むケースも。そして認知症やパーキンソン病などの神経疾患、脳卒中なども関連疾患です。例えば脳の萎縮が見られる認知症は、神経の働きや筋力が衰え、口周りの機能が低下し誤嚥性肺炎のリスクが高まります。また口腔機能の問題だけでなく、食事そのものの概念を喪失してしまったり、箸などの使い方がわからなくなって口に運べなかったり、食べこぼしてしまったり。軽度から中等度までは比較的問題はないそうですが、進行すると前述の症状が出るほか、口に入れてから飲み込む感覚を喪失してしまい、口の中に溜め込んでしまうこともあるそうです。

 

逆に誤嚥性肺炎によって、体が弱ったり寝たきりになってしまい、認知症が進行してしまうこともあります。認知症予防と同時に、誤嚥性肺炎を防ぐための「嚥下体操」など口周りの機能強化もとても大切です。この嚥下体操はさまざまなサイトで紹介されていますので、高齢のご家族がいらっしゃる方はぜひ参考にしてみてください。

 

(※)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/kekka.pdf