ケガや病気をしたとき、その部位をケアすることをよく「手当てする」と言います。もともとの語源は違うようですが、手を当てることで患部が癒やされるため、体調がよくなったり気持ちが落ち着いたりすることは珍しくありません。

 

それは「安心できるから」という感情面だけでなく、実際にケア技法のひとつとされています。特に認知症など言葉でのコミュニケーションが困難な方とは、手当て=タッチケアをすることで、認知症の症状緩和などが見られるというのです。

例えばスウェーデン発祥のタッチケア「タクティール®ケア」は、相手の手足や背中を優しく包みこんでケアします。この際、あくまで触れるだけ。指圧や刺激は必要ないそうです。もともとは未熟児ケアに使われていた技法だったようですが、すべての人に効果があるものであることがわかり、日本でもこの技法は紹介されています。

 

どうやら優しく触れることで、癒やしのホルモンであるオキシトシンが脳から分泌され、徘徊や暴力・暴言といった認知症症状の緩和につながるのだとか。このほかにも痛みやストレスの緩和、血圧が下がるなど、認知症患者らに限らずすべての人に良い効果があるようです。さらにいいのが「副作用ゼロ」である点。ただ触れてもらうだけなので、危険なことは何一つなく、「ケアのやりすぎ」もさほど問題はないでしょう。

 

やり方は、自分が安心できる親しい人に背中などをなでてもらうだけ。背中の中央から外側に向かって円を描くように全体をなでたり、ぐるぐると円を描くように両手でなでたりとさまざま。ほんのりあたたかい程度の強さで十分なので、老若男女誰でもできます。なお、このタッチケアはなでる人にも癒やされ効果があるそうです。

 

そんなパートナーや家族がいない…という人も、親しい人や安心できる人と電話で話しながら肌触りのいいものをなでると非常に効果があるようです。毛布やぬいぐるみなどをナデナデしながら、遠くに住む両親に電話してみましょう。

 

もっとも「手当て」がどんなに素晴らしいものでも、勤務先からもっと「手当」をもらったほうが心は温かくなる!!という人も少なくないはず。しかしそんなときこそ懐にタッチケアをしたら、財布は膨らまなくても、心は落ち着くかもしれません。