「人は血管とともに老いる」と言われるほど、血液を送る血管はその人の若々しさにつながるもの。血管を通じて栄養や酸素が体の隅々まで行き届けば、そのぶん末端の細胞まで元気に、逆に血管が傷んで機能を果たさなければ、細胞が弱り臓器や筋力などの働きが低下してしまいます。「血管年齢測定」では血管の硬さや詰まり具合を簡単に知ることもできるため、健康イベントや検診などで実際に検査したことがある方もいるのではないでしょうか。

 

この血管障害は、糖尿病が悪化した「合併症」としても現れます。細い血管が巡っている網膜に影響が出れば糖尿病網膜症、大量の毛細血管が集結している腎臓内部の血管が傷つくと糖尿病腎症、足の壊疽につながる足病変ほか、大血管障害と言われる動脈硬化が進めば、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患につながります。糖尿病の三大合併症は、いずれも血管障害が関わっています。

ところでなぜ、血管障害が起こるのでしょうか。糖尿病によって高血糖が続き血液中にブドウ糖が増えすぎると、内皮細胞内に入り込んでしまい、そこで活性酸素が発生することで、血管を傷つけてしまうのです。また余ったブドウ糖がタンパク質と結びついて細胞を変質させて正常に機能しなくなってしまうことも。高い血糖値がいつまでも続くと、全身の血管が傷ついてしまいます。

 

糖尿病性の血管障害を起こさないためには、まずは良好な血糖コントロールが必須。過去1~2か月の血糖値平均であるヘモグロビンA1cの値を7%未満に保つ必要があります。この数値を目標に、継続した予防・治療を行っていきます。

 

冒頭で書いたとおり、「人は血管とともに」老いていきます。現在は糖尿病の心配がない方も、正常な血管を維持することが健康と若さにつながります。ピチピチの血管を保つためには糖質の過剰摂取を避けたバランスの良い食事が大切。そして当然ながら程よい運動も。これまで健康に気をつかってこなかった、どう気をつかえばわからないという人も、普段あまり意識することがない「血管」を労わることから始めてみましょう。