前回のブログでは、皮膚のバリア機能の低下がアトピー性皮膚炎の原因であることをお話しました。もう一度おさらいしておくと、皮膚をレンガの壁に例えましたね。単にレンガ
を積み上げただけではぐらぐらしてバリア機能を果たすことができません。レンガ同士をくっつけるたんぱく質が重要なのです。そのたんぱく質のなかでも特に重要なのがコラー
ゲン。「コラ」というのはギリシャ語で「くっつける」という意味です。

身体全体の総たんぱく量の約3割がコラーゲン言われており、特に皮膚においてはその70 がコラーゲンとなっています。そのほか関節軟骨のおいては53 、骨においては23 を占 めています。ただし、これらすべてが同じ種類のコラーゲンではありません。コラーゲン には20種類以上あるといわれていますが、主なものは次の通りです。 ・I型コラーゲン:皮膚、骨、腱など

・II型コラーゲン:関節軟骨など ・III型コラーゲン:筋肉、内臓、動脈など

実は人類にとって、コラーゲンは「膠(にかわ)」として長い付き合いの歴史がありま す。膠というのは接着剤ですが、日本では2012年に平城京跡出土の墨から膠のコラーゲン が検出されたというニュースがありました。それによれば、墨の材質は煤が60 、膠が 40 だということです。 1 また食品としては、「にこごり」などがコラーゲンの活用例 として有名ですね。フランス料理では「アスピック」というようです。

しかし、そのように身近に使われてきた素材ではありましたが、コラーゲンの構造につい てはよく分かっていませんでした。コラーゲンの構造に関する研究が進んだのは1930年代 以降のことで、さらに純物質として取り出すことで科学的研究の対象となったのは 1960 年代以降のことです。さらに生体内で重要な役割を果たしていることが分かってきたのは 、バイオサイエンスが発達した1980年代に入ってからのことです。 2

コラーゲンの産生は年齢とともに低下していきますが、80歳の段階では、20代の頃と比べ て75 低下すると言われています。また閉経後の女性では、5年間で皮膚におけるコラーゲ ン量が30 も減少してしまいます。またUV(紫外線)やフリーラジカルの影響により、コ ラーゲンの質も低下し、より硬いものになってしまいます。

そこで、まずは抗酸化を意識して、コラーゲンの劣化を防ぐ必要があります。そのうえで、コラーゲンを豊富に含む食品を摂取することがよいとされています。米国ですでに定着
した「ボーンブロス」などはその一例といえるでしょう。

1)国立大学法人
奈良女子大学、独立行政法人 国立文化財機構
奈良文化財研究所「平 城京跡出土の墨から膠のコラーゲンを検出」報道発表資料、2012

2 渡辺和男 コラーゲンの構造と性質 日本写真学会誌 1998