前回はコラーゲンについてお話いたしました。コラーゲンは、たんぱく質をくっつける作用があり、皮膚のバリア機能を高めることを説明しました。皮膚のバリア機能を高めることによって、保湿能力が向上するのでしたね。ただ、保湿能力が高まっても、肝心の水分が供給されなければ意味がありません。そこで今回のヒアルロン酸の登場です。ヒアルロン酸は水分を外からとってきて、肌に供給してくれる役割をもっているのです。

 

ヒアルロン酸の構造は、スポンジにたとえられます。スポンジは、穴がたくさん開いていて、そこに水分が入り込むことによって、たくさんの水を取り込み、保持することができます。それと同じように、ヒアルロン酸は水分を取り込み、自らのなかに保持することができるのです。ヒアルロン酸分子1個で、水分子1000個を取り込むことができるといわれています。

ヒアルロン酸は1934年、カリフォルニア大学のカール・マイヤー博士らによって発見されました。(1)牛の目の硝子体のなかに見つかったので、ギリシャ語で「硝子状」を意味する「ヒアロス」から、ヒアルロン酸と名付けられたのです。その後、たくさんの研究が行われましたが、2009年、学術雑誌『International Journal of Toxicology』にて、ヒアルロン酸の使用が安全であることが示されました。

もともとヒアルロン酸は、ニワトリの鶏冠や牛などの軟骨を原料として作られていましたが、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を洗浄しきれないなどの問題があり、現在ではアレルゲンフリーの合成品が使用されています。

またオーストラリア最大の大学であるモナーシュ大学が1999年に実施した試験では興味深い結果が出ています。放射性元素を利用した測定試験の結果、ヒアルロン酸は表面にとどまるだけでなく、真皮に達することが分かりました。さらにその痕跡は血管まで達したといいます。

 

最近では分子サイズを5ナノメートルまで小さくできるような方法も研究されており、このサイズであれば、容易に皮膚の奥まで浸透します。

 

いずれにしても、ヒアルロン酸はまだまだ発展の余地があり、これからがさらに楽しみな素材だということができるでしょう。

 

1)K. Meyer, et al.: J. Biol. Chem., 107, 629 (1934)

2)1ナノメートルは、1メートルの10-9(10のマイナス9乗)、つまり1,000,000,000分の1です。