これまで3週にわたり、認知症の種類について調べてきました。「認知症」はひとくくりに考えられがちですが、“三大認知症”とされるアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症だけを見ても、発症原因も、症状も、そして介護者の対応方法もさまざま。各種類の特性を知り、原因となり得る生活習慣の改善、早期発見・早期治療がとても大切です。

 

今回はアルツハイマー型やレビー小体型と同じ神経変性疾患である、前頭側頭型認知症についてまとめてみました。ある分類では、前頭側頭型認知症を加え“四大認知症”とするケースもあり、多くは65歳以下と比較的若年層に発症する傾向があるそうです。他の認知症と違い、「指定難病」にも認定されている前頭側頭型とは、どのような認知症なのでしょうか。

 

アルツハイマー型認知症は、記憶や学習能力に関わる海馬から、徐々に側頭葉、頭頂葉、前頭葉が委縮していきます。一方の前頭側頭型認知症は、行動と感情など、言わば「人間らしさ」をコントロールする前頭葉の神経細胞が壊れていき、側頭葉へとその範囲が広がります。また本来ないはずの「ピック球」と呼ばれる神経細胞が見られることで「ピック病」とも呼ばれるそうです。

初期症状は物忘れではなく、同じ言動を繰り返したり人への配慮ができなくなったりするだけでなく、万引きなどの犯罪を起こすなど社会性も欠如していくのが主な症状。見当識障害はないので道に迷うことはないそうですが、毎日同じ道を散歩したり同じものを食べたりとこだわりが強くなるほか、感情の移入ができなくなり家族への愛情の体調不良も気遣えなくなるなど、その人らしさもどんどん失われていくそう。家族にとってもつらいですね。緩やかに進行し、後期に入ると意欲の低下も見られ、およそ6~8年ほどで寝たきりとなるケースが多いとのことです。

最近の研究では、神経細胞内にある「TDP-43」など複数のタンパク質が関与していることが分かってきたようですが、原因解明や完治が望める有効な治療法の発見には至っていません。50~60代で発症し、患者本人に自覚がないケースも多いことから、介護する側の負担の大きさも指摘されています。

 

認知症の原因となる疾患や病態は13分類、70種類以上とされ、一部には手術や薬物療法などで治るものもあります。例えば慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症などは適切な治療が受けられれば症状が改善しますが、他型の認知症と混同されてしまうこともあり、治療が遅れてしまうことも。治療が遅くなればなるほど難しくなるのは当然ですから、早期の正確な診断が重要ですね。インターネットなどにある各認知症の症状例はあくまでも参考に、異変を感じたらすぐに医療機関を受診することが大切です。

前頭側頭型認知症は「TDP-43」など複数のタンパク質の蓄積が原因と疑われていますが、アルツハイマー型認知症の原因もタンパク質の一種・アミロイドβが蓄積することでした。アミロイドβに関しては、脳アミロイド血管症モデルマウスにアミロイドβの産生・蓄積を抑制する「タキシフォリン」を経口投与することで、脳内のアミロイドβオリゴマーの量が大幅に減少し、認知機能が正常値程度まで回復することが報告されています。このアルツハイマー型認知症改善が示唆される「タキシフォリン」のように、前頭側頭型認知症への有力素材が見つかれば、治療への足がかりとなるかもしれませんね。そうした未来に期待して、今後も認知症研究に注目していきたいと思います。