さて今回はアレルギーの話です。世界保健機関の統計データによれば、世界人口の約40% が何らかのアレルギー症状を持っています。特に最近では、環境汚染の進行や化学合成製 品の浸透などにより、アレルギー要因はますます増える一方です。一般家庭においても、 少なくとも6~7品のアレルギー要因があるといわれています。ペットがおられる方は、残 念ながらペットがアレルギーの原因になることもありますし、楽しいはずのお誕生日ケー キにアレルギー反応が出る体質の方もおられます。

そのような外的要因以外にも、アレルギーには遺伝的要因があるといわれています。例え ば、両親のうち一人がアレルギーを持っていれば、その子供がアレルギーを発症する可能 性は33%、両親が二人ともアレルギーならば、その可能性は70%にもなります。

そもそもアレルギーとは、様々な物質に対する免疫反応が原因で起こる症状です。その物
質とは、食品成分のほか、動物の毛、ホコリ、家庭用化学製品など、日常的に私たちの生
活で使われているものの場合が多いのです。アレルギーを持たない人には何の害もない場
合でも、アレルギーを持つ人には症状の原因となるわけです。
アレルギーを持つ人の免疫反応はどうなっているのでしょうか。免疫反応の詳細なメカニ
ズムについてはまだまだ分かっていないことも多いのですが、現在一般に言われているこ
とによれば、ある物質に対して免疫システムが抗体を生み出し、その抗体がアレルギー症
状の原因になっているということです。
興味深いのは、もともと環境要因や遺伝要因によってアレルギーを持ちやすい体質を持っ
ている人であっても、必ずしもアレルギーを発症するとは限らないことです。例えば、昨
日まで何十年も牡蠣が大好物でよく食べていたのに、今日から突然、牡蠣を食べると発疹
症状が出るようになった、という人もいるわけです。この場合、この人の免疫反応はアレ
ルギーの傾向は持っていたものの、いままで抗体を出すことはなかったわけです。それが
突然ある日、「思い出したかのように」抗体を作り始めてしまったのです。そのメカニズ
ムについては、繰り返しますが、まだまだ明確には知られていません。
少なくとも、もともとアレルギーになりやすい傾向として内的要因(遺伝)があって、そ
れが食品成分や化学物質、花粉などの外的要因(環境)によって、免疫反応にスイッチが
入り、抗体が生み出されてしまうというのがアレルギーの正体だといえます。そして免疫
反応は気まぐれです。昨日まで忘れていたのに、今日になって突然、「そうだ、自分は牡
蠣に対して免疫を作らないといけないんだった!」とか言って、アレルギーを引き起こし
たりするわけです。
ですから、いまアレルギーがない人も、安心はできません。なにかアレルギーが疑われる
ような症状が出た場合には、まずはお医者さんに相談されるのがよいでしょう。