以前のブログでアトピーの原因が皮膚のバリア機能の低下であり、その結果としてアレルギー症状が引き起こされる、ということを書きました(1)。繰り返しますが、アトピーの原因となるメカニズムについては明確なことはまだ分かっていません。しかし、アトピーに付随して食物アレルギーが見られることがあるのは確かです。

 

今回のテーマは「酵素とアトピー」なのですが、分かっていないこともあるため、今後さらに正確なことが分かってくることが十分に予想されます。ですから、今回述べることはあくまでも「現時点で考えられること」としてご理解ください。

さて、アトピーの症状がひどくなったり軽くなったりすることには、腸内細菌叢のアンバランスが影響することが一部で指摘されているようです。そのため、腸内細菌叢を改善することによって、アトピーの症状が改善できるのではないか、という見方があります。医学界においても、例えばウシやブタの膵臓由来の消化酵素であるパンクレアチン(パンクレリパーゼ)を使った臨床実験などが行われています。

腸内細菌叢を整えることにおいては、酵素、特に消化酵素の働きが重要であることは先週のブログでも触れたところです。なぜならば、酵素不足により十分に消化されなかった食物は体内で腐敗し、炎症の温床となることで、腸内細菌叢を乱してしまうからです。そして、多くのアトピー患者の腸内細菌叢が、アンバランスな状態にあることが指摘されています。

そもそも腸内細菌叢の状態はどれほど重要なのでしょうか。一人の人間が持っている腸内細菌は合わせると2キログラムぐらいになるそうです。その多くはビフィズス菌と乳酸菌という嫌気性の菌が占めています。アトピーと腸内細菌叢のつながりは、この乳酸菌がキーワードになっています。というのもこの乳酸菌はIgAという物質を作り出し、食物アレルゲンの腸への吸収を抑えるといわれているからです(2)。さらに乳酸菌の量が減少すると、皮膚に存在する表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が増加し、アレルギー症状を悪化させるともいわれています(3)。

 

今回は「酵素と腸内細菌叢」および「腸内細菌叢とアトピー」という二段構えで問題を考えてみましたが、あくまでも確定的なことは分かりません。明確なことが言えるためにはさらなる研究成果を待つべきだといえます。

 

(1)https://sanoh-corp.jp/post-418/

(2)Cremonini F. et al. Meta-analysis: the effect //Aliment Pharmacol Ther. 2002; 16: 1461–1467.

(3)Fokina R.A. Osobennosti techeniya atopicheskogo dermatita v usloviyakh Yakutii u detei i podrostkov v sravnitel’nom aspekte // Dal’nevostochniy meditsinskiy jurnal. Prilozhenie 4. 2007, 18-19