前回、半身浴についてお伝えしましたが、全身浴と半身浴の違いは「長く浸かれるかどうか」というのが大きなポイントでした。半身浴はみぞおち部分程度までしか浸からないため、熱いお湯でも比較的長く入浴ができるのがメリット。心臓や肺に水圧などの負荷がかからないのも特徴です。

 

日本大百科全書によると、熱いお湯にいきなり入ると、高温の急激な影響を受けないよう血管が深部に血液を送り、その結果、脳や腹部に血液が集まり血圧が上がります。さらに体をお湯に沈めると、水圧によって腹部静脈などが圧迫され血管内の血液を押し出されることで、心臓に戻ってくる血液量が一時的に多くなり、心臓への負担が大きくなります。そのため心臓病や高血圧、動脈硬化症などの疾患を持つ人は、全身浴に注意が必要なのです。ただし、ぬるいお湯から徐々に温度を上げていく場合にはこうした症状は起こりにくいとのこと。体調に合わせて工夫が必要です。

しかし血圧や心臓などに疾患がなく、体調的にも問題ないのであれば、「温熱」「水圧」「浮力」の各作用のある全身浴のほうがメリットは大きいのかもしれません。

「温熱」に関しては、半身浴のコラムでもお伝えしたように、どちらにもその効果はあります。半身浴はじっくりと長時間浸かることで温熱効果を得ますが、全身浴であればより早く温まるため、そのぶん血液循環も良くなります。半身浴と比べれば短い時間でもその効果が得られる一方、全身浴でも「熱いから」と言って短時間でお湯から出てしまっては意味がありません。それならば無理に熱いお湯に全身浸からず、半身浴で20分、30分と長時間浸かるのがおすすめ。「夏は暑くてお風呂に浸かっていられない!」というときにベストな入浴法でしょう。

「水圧」効果も見逃せません。湯に浸かると水圧がかかり、体を締め付けることで特に足などのむくみケアになります。水深によって体が受ける水圧は違うので、半身浴よりも湯の深い全身浴なら、その効果がより体感できるはずです。

最後の「浮力」は、リラックス効果の大きさにつながります。全身浴であれば湯に浸かる面積が広くなるためそれだけ浮力を受けます。その結果、緊張から解放され、筋肉がよりリラックスできるというわけです。

とはいえ、お湯に浸かるのが苦手な方が無理におこなっても意味がありません。血圧や心臓などに問題がなくとも負荷がかかるのは事実ですから、高齢者や乳幼児ほか、全身浴で圧迫感を感じる方などは半身浴のほうが向いているでしょう。

このように全身浴や半身浴は、体調や好みに合わせてお選びください。

1年間で最も忙しい時期ですから、なかなかゆっくりと入浴することは難しいかもしれません。しかし週末や年末休みなどを利用してバスタイムをたっぷり楽しみ、気持ちの良い2020年を迎えましょう。