糖尿病の合併症として、これまで足病変や歯周病などについて調べてきました。糖尿病は日常生活に大きな問題がないからといって放置、治療を中断することで、足を失ったり、口腔内から糖尿病を悪化させたりと、取り返しのつかないことになってしまいます。

このほかにも糖尿病の合併症がありますが、今回は三大合併症の一つ「糖尿病網膜症」について考えてみます。「糖尿病には失明のリスクもある」ということは周知の事実ですが、岡山大学の視覚障害の原因疾患の全国調査結果によると、日本人の失明原因の第1位の緑内障(28.6%)、第2位の網膜色素変性(14.0%)に次ぐ、第3位が糖尿病網膜症(12.8%)となっています。

眼底と呼ばれる目の一番奥には、網膜がありそこにはたくさんの毛細血管が存在します。ところが糖尿病となると網膜内の毛細血管が詰まったり、眼底で出血を引き起こしたりします。そして血液が滞り、網膜への酸素・栄養供給が行き届かなくなって糖尿病網膜症となります。そして悪化すれば大出血が起こって失明に至るのです。

実際は糖尿病網膜症以外にも、高血糖による代謝異常などで別の目の疾患を引き起こすこともあるそう。糖尿病網膜症をはじめとするさまざまな疾患で視力が低下すると足の異変にも気付きにくくなるという負のスパイラルが発生します。糖尿病×歯周病は互いに悪化させ合い、糖尿病×足病変は適度な運動も不可能に。糖尿病×網膜症は生活の質の著しい低下など、糖尿病は健康だけでなく、生活すべてを蝕んでいきます。

糖尿病網膜症も自覚症状はほとんどなく、初期段階で異常に気が付くことはほとんどないのだとか。通常、糖尿病の主治医は内科医師かと思いますが、内科医師の指示がなくとも定期的に眼科を受診することが重要です。目の健康を維持するためには血糖コントロールが重要であることは間違いありませんが、病気になってしまっても早期発見できれば、レーザー光凝固術や硝子体手術といった治療の選択肢もあります。

 

 

先ほどの岡山大学の調査報告に「生きていく上で必要な情報の80%は視覚情報」と記されている通り、もし失明すれば日常生活に大きな支障が出るのは明らかです。今ある“当たり前の環境”は、健康だからこそ得られるもの。目も足も歯も、体は全部つながっています。体の一部ではなく全身をケアするよう努めましょう。

 

 

岡山大学「視覚障害の原因疾患の全国調査」

https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press30/press-180927-6.pdf