喫煙と飲酒は、体に悪いことの代表格と認識されています。しかし、たばこの不始末による火事や飲酒による事故などの場合を除いて、直ちに命に関わるような生活習慣ではありません。そのため、医師や家族から控えるように言われても、なかなか止められない人も多いでしょう。

 

ところがこの喫煙と飲酒は、糖尿病にも深く影響のある生活習慣です。今回はたばことお酒がどう糖尿病に関係するかをまとめてみました。

まずはたばこです。厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」によると、成人の喫煙率は男性29.0%、女性8.1%。世界に誇る分煙対策が奏功しているのでしょうか。屋内外問わず喫煙可能場所が極端に限られはじめたことから、それを機にたばこを止めた人も多いのかもしれませんね。特に男性の喫煙者はかなり減少している印象です。

国内外の研究により、たばこを吸うと糖尿病になりやすいということが分かっています。日本の研究では、体重や運動習慣などさまざまな要因を考慮してもなお、喫煙者は2型糖尿病に約1.4倍かかりやすいそう。しかも量に比例するため、一日の喫煙本数が多いほうが、糖尿病にかかりやすいとのことです。

それではなぜ、たばこを吸うと糖尿病になりやすくなってしまうのでしょうか。喫煙は血糖値を上げる上、インスリンの分泌を妨げるからだと考えられているからです。すでに糖尿病に罹患している人がたばこを吸うと、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病性腎症など合併症のリスクが高まり、インスリン治療を行っている場合にはより多くのインスリンが必要になるなど影響も。糖尿病治療として血糖コントロールをしても、きちんと運動をしても、喫煙がすべて台無しにしてしまうのです。なお、喫煙には慢性腎臓病(CKD)のリスクも高まることが報告されています。

続けて飲酒と糖尿病の関係です。お酒の種類やアルコールの代謝に伴い血糖値に影響がありますが、実は適度であれば糖尿病の発病に、抑制的に働くと推定されているそう。しかし多量にお酒を飲むと糖尿病の危険性が高まり、肝障害・膵障害となると糖尿病のコントロールが困難になってしまいます。

 

アルコール性膵炎を繰り返すことで、膵β細胞も壊れてしまいます。その結果インスリン分泌が低下して糖尿病を併発してしまうとのこと。こうした膵性糖尿病では、インスリンとバランスを取りながら血糖値を正常化するグルカゴンの膵分泌も低下するため、コントロール不安定になってしまうのです。またアルコール性の肝硬変は、ブドウ糖を肝臓に貯めにくくなり、肝臓で分解されるはずのインスリンが過剰に残ってしまうため、慢性高インスリン血症を引き起こします。そしてインスリンの効き目が低下するインスリン抵抗性も加わり、肝性糖尿病となってしまうそうです。

このように、たばこ・お酒と糖尿病は密接に関係しています。そして今回は糖尿病との関係についてピックアップしましたが、体はすべてつながっていますから、別の疾患の原因にもなりかねません。

 

たばこは本数が増えると、そのぶん糖尿病へのリスクが高まります。たとえすぐに止めるのは難しくても、1日1本でも喫煙本数を減らせればOK。1年で365本(約18箱)も減らせます。また飲酒は、適度であるなら逆に体にいいと推定されていますので、「あと一杯!」をお茶に変えるなど、体を労わりながら上手に楽しみましょう。