老後の備えとタキシフォリン

平均寿命が延びて「人生100年時代」を迎えたことで、老後の備えは人生の重要課題になっています。いま、老後の備えと言えば生活資金の確保で最低二千万円必要とメディアなどで報じられていますが、自分らしい生活のためには「健康的な老化」対策が必要なのです。
老化の原因には酸化(身体が錆びる)と糖化(身体が焦げる)がありますが、今回は「糖化」についてお話します。
糖化は、食べすぎなど、必要以上に摂取した余分な糖質が体内のたんぱく質などと結びついて、AGEs(糖化最終生成物)という老化物質を生成する作用のことを言います。この老化物質(AGEs)が増えると肌のシワやくすみ、シミなどの原因になるだけでなく、多くの病気(糖尿病、高血圧、がん等々)の原因となることが知られています。
「焦げる」というのは、糖化を体温の熱が引き金になることや、糖とたんぱく質が反応すると褐色に変わることなどから表現されていますが、実際に糖化が起こった骨は、褐色に変色し、骨が脆くなります。糖化により褐色になるのは生体だけではなく、食物でも多く見られる現象で、身近な例では味噌や醤油などの発酵食品や、ホットケーキやローストチキンなどの過熱調理の際に起こります。

食事などのあと、糖が生体内(血液中)にとどまって血糖値が高い状態が長く続けば続くほどこの老化物質(AGEs)は多く作られます。糖尿病は一定期間以上持続的に血糖値が高くなった状態ですが、老化物質(AGEs)の量は「どれだけ高い血糖値にどれだけ長時間さらされたか」によって決まります。
認知症の前段の状態である軽度認知障害(MCI)と老化物質(AGEs)の関係を226名のヒトを対象にした研究では、「AGEs の測定値が2.27以上の人にMCIが有意に多く存在した」という報告があります。
Igase M, Igase K. Cognitive impairment and glycative stress. Glycative Stress Res. 2018; 5: 45-49.)
最近では、この老化物質(AGEs)に着目して、生薬や茶葉などの植物を由来とする天然物においてもAGEs生成抑制物質の探索が積極的に行われています。

関連するタキシフォリンのはたらき

タキシフォリンの抗糖化作用については、木村修一先生(東北大学名誉教授,加齢・栄養研究所所長)が発見し、海外でもいくつかの報告があります。
Muramatsu D et al, Heliyon. 2019 Jul 13;5(7):e02047.