体の防御機能とタキシフォリン

私たちは寒さや暑さ、紫外線、有害な昆虫や動物、細菌やウィルス、等のように自然界において様々な外敵やストレスにさられていますが、衣類で調整したり、道具を使って退治したり、薬で治療するなど、それなりに対処する術があります。
しかしながら、自らが動くことができない植物は、形態や構造を変化させたり、毒素を持つなど、様々な方法で外敵から身を守ってきました。植物に含まれているポリフェノールの抗酸化作用は、最初の陸上植物が紫外線により発生する活性酸素を消去するために獲得したものです。自然界に5000~8000種類も存在するポリフェノールには、抗菌・殺菌作用 、抗ウイルス作用、コレステロール低減作用、血管保護作用、体脂肪低減作用、抗アレルギー効果など、様々な有効性があることが報告されていますが、これは植物それぞれが置かれている環境下での生存戦略の結果として生まれたものと言えます。

柿に含まれているポリフェノールのタンニンは苦味を有しているのが特徴ですが、柿が未熟な段階では不快な渋みを呈し、成熟して種子が発芽能力を持つと動物に食べさせて種子を運ばせるために渋味がなくなるというのも種の存続のためのものです。
お茶の葉に含まれているうま味成分であるテアニン(緑茶アミノ酸)は、日光にあたるとポリフェノールのひとつであるカテキンに変化し、渋いお茶が作られます。玉露などの高級茶はテアニンが豊富で旨味やコクがあるのは、布などで一定期間覆いをして、日差しを遮った状態で育てるからなのです。

また、同じ植物でも品種によって、ポリフェノールの含有量の差はあります。例えば、玉ねぎのケルセチンはストレスにさらされる期間が短い早期に収穫される種類はポリフェノールが少ない傾向にあり、赤玉ねぎが多く、黄玉ねぎがその次、白玉ねぎにはあまり含まれていないといわれています。

タキシフォリンはカラマツに含まれていますが、マイナス70度近い極寒のシベリアに生息するカラマツから良質なものが抽出できるのは、この植物の防御機能が働くからだと言えます。
私たちは、植物が自らを守るために育んだポリフェノールが、人間の防御機能として役立っていることに感謝しないといけないですね。