老化現象とタキシフォリン

食事中にゲップがでて、家族に怒られることはありませんか?加齢にともないゲップが出やすくなるのは、老化のひとつの現象で、これは胃の噴門部の下部食道括約筋が機能低下するため起こります。
2021年の⑫月に「老化細胞除去ワクチンの開発に成功」というニュースが報道されましたが、この「老化細胞」という言葉は意外に知られていません。(Masayoshi Suda, et al, Nature Aging , 1, 1117–1126 ,2021)

一般的には老化は40代から日常生活に少しずつ顕在化してきますが、実は個々の細胞のレベルでは生まれた直後から始まっています。私たちの体を構成している細胞はおよそ50回程度しか分裂することができないことが米国の学者によって発見されましたが、その限界まで分裂した細胞が「老化細胞」なのです。
若い頃は機能の低下した細胞が新しい細胞になることで機能維持を図り、老化を防ぐことができますが、加齢とともに細胞の入れ替わりが遅くなるとともに老化細胞が蓄積されることで、最初に紹介した消化管の運動低下のように日常生活の中で脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、などの臓器に様々な老化現象が現れてくるのです。
老化した細胞の機能はあまりよくないことはもちろんですが、一部の臓器では、細胞が壊れても新しくならないため、細胞の数が減ってきます。特に精巣、卵巣、肝臓、腎臓の細胞数は、体の老化とともに著しく減少し、臓器は正常に機能しにくくなります。

それではどうすればいいのでしょうか。
老化細胞の蓄積を防ぐために、「体の設計図」であるDNA※(デオキシリボ核酸)を傷つけないようにする生活スタイルが重要と言われています。特に、喫煙や過度の飲酒や日焼け(紫外線)は、DNAにダメージを引き起こして、老化細胞を蓄積させ、細胞のがん化につながることになりますので、外出するときは受動喫煙にも気をつけるとともに、友人との会食ではノンアルコール、紫外線が強くなる5月頃からは日傘を使用することがおすすめです。
また、アルツハイマー病やパーキンソン病のように神経細胞が壊れる病気(神経変性疾患)にならない限り、健康な高齢者は多くの脳細胞を失わずにいることができます。ちょっとしたことが思い出せないというのは病気ではなく老化現象ということになりますから、過度な心配は無用ということです。
※DNAは、体のすべての細胞に存在するもので、DNAの情報に基づいて体の細胞や、器官、臓器が作られます。

関連するタキシフォリンのはたらき

タキシフォリンは、DNAの損傷に関与している活性酸素(スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素など)レベルを抑える働きがあることや、マウスの実験でタキシフォリンを投与した結果、脳の中では、細胞死も少なくなっていることが報告されています。
(Saito S, et al. Acta Neuropathol Commun. 2017 5:26. )