介護ストレスとタキシフォリン

 介護者支援NPOが東京都の介護者を対象に行った調査(H22 )で、「介護をしていて感じること」の質問で最も多かったのが、「精神的なストレスがたまり、悲観的な気持ちになる(46.2%)」でした。
親や配偶者などの介護が生活の中心になるとストレスを感じながらも、自分は後回しになってしまうと話す介護者は少なくありません。
ストレスは本来刺激を与えるという意味で、やりがいのある仕事や夢や目標など、自分にとってプラスになるものもありますが、人間関係の不和、疲労、不安など、自身の身体が苦しくなったり、気持ちが不安定になったりとマイナスに作用することがほとんどです。
そもそも 介護保険制度は、介護する家族が倒れてしまわないように、サービスを導入し家族への休息の機会を提供することが、ひとつの創設の目的でしたが、制度が施行された2000年ころから逆に介護者のストレスやメンタルヘルスに関心が高まるという皮肉な結果となりました。
介護者を支配する感情は、不安感、負担感、被害感、無力感、怒りと罪悪感、孤独感であり、介護(ケア)している人こそ自分がケアしてもらう時間と空間が必要であると言われています。
(渡辺俊之, 介護ストレスへの理解と対応,介護福祉 : (76) 2009. p.108~118 )

 また、介護はする側とされる側の距離感が大切とも言われています。介護者は介護しながら親や配偶者との愛着を無意識的に求め、介護者と要介護者の絆は強くなり、知らぬ間に二社関係の世界に埋没していくことも少なくありません。この相互依存的な関係性を否定的にとらえて物理的に切り離そうと考える支援者も見受けられますが、二人の歴史を知りもせず、理解もできず、物理的に離そうとするのは、本人たちにとっては余計なお世話ではないでしょうか。

 亡くなられた女優の清水由貴子さんの妹の清水良子さんが、自著で「人から愛される母は、姉の誇りでした。姉は母のそばにいるだけで癒されていたのだと思います。介護をしながら、きっと姉は子供の頃の文までうんと甘えていたのだと思うのです」と書いていたように、お互いにとって適切な距離は人それぞれだと思います。(清水良子、介護うつ~お姉ちゃん、なんで死んじゃったの、ブックマン社、2009年)
 介護と上手に向き合うには、知識、技術、休養、そしてペース配分が必要です。介護に関する知識や技術を得るためにはコミュニケーション力をつけて、主治医やケアマネ といった専門家に教えてもらうことも重要です。そして、ストレスをマネジメントする、そのマネジメントは介護保険をうまく活用することも大切です。
 介護ストレスは、免疫力が低下しがちで、風邪が治りづらくなったり、皮膚炎が出たり、口内炎ができたり、胃腸の調子が悪くなったり、食欲が低下することがよくあります。自然免疫を活性化するには温浴、栄養、筋トレ、睡眠、マインドフルネス などが有効であると言われています

関連するタキシフォリンのはたらき

ストレスによって自律神経がバランスを崩し、交感神経優位となり血管収縮により血行悪化や血圧上昇を引き起こします。タキシフォリンは、血液の粘度の低下と血管拡張によるなど、いくつかの研究により降圧作用があることが報告されています。