骨貯金とタキシフォリン

加齢とともに筋力や運動機能が低下し、日常のいろんな場面でケガや病気が多くなってしまいますが、 その中でも多いのは転倒による骨折です。骨折を一番しやすい季節は、道路の凍結や体が動きずらい冬ですが、暖かくなって体を動かしだす春も要注意です。それは、日照時間が短く、運動機会も減る冬は体内のカルシウムが流出しやすく、骨量の減少につながりやすいためなのです。
私たちの体を構成している骨の中には、「破骨細胞」と「骨芽細胞」とがあり、破骨細胞が古くなった骨を溶かし(骨吸収)、骨芽細胞がカルシウムなどを付着させて骨を造り(骨形成)ながら元通りに修復するということが行われています。しかしながら、加齢やホルモンの乱れ、酸化ストレス、血糖値異常などからこのバランスが崩れて「骨吸収」が「骨形成」を上回るようになって、骨量(骨密度)が減ってしまい骨折しやすくなります。
こうした骨折を防ぐために、骨の量を増やして丈夫にするのが「骨貯金」なのです。「骨貯金」のためには、カルシウムを豊富に含んだバランスの良い食事を摂ることはもちろんですが、あわせてカルシウムの吸収に必要なビタミンÐの生成のために日光を浴びたり、骨に刺激を与える程度の運動をすることが推奨されています。
そのほかの対策として意外に知られていないのは、毛細血管を元気な状態に保つことなのです。毛細血管は体の隅々まで網の目のように張り巡らせられていることはよく知られていますが、骨の中(骨髄)のも存在します。この骨の中にある毛細血管が骨の素になる骨芽細胞を周りに集めたり、骨芽細胞が増えるのを手伝う役割をしており、毛細血管は骨形成と深い関係があるのです。また、骨を構成する骨質のひとつに海綿骨というスポンジのような目の粗い組織がありますが、骨の中(骨髄)の毛細血管が劣化していくと、この海綿骨が細くなり骨粗しょう症の発症につながることがわかっています。(Kuaumbe et al.Nature,2014)
このようなことから、毛細血管を元気にすることも骨折予防になるのです。

関連するタキシフォリンの働き

タキシフォリンは破骨細胞の形成を阻害する働き (Hong-Qi Z,Pharmacology . 2019)と骨芽細胞の骨形成を促進する働き (Yun-Jia W. Biochem Biophys Res Commun. 2017)があることが報告されています。