がんと共に生きるとタキシフォリン

国立がん研究センターが2010年に診断された患者の10年生存率を発表しました(下記URL参照)。10年生存率は2018年から発表されていますが、今回の発表では全体では53.3%、甲状腺乳頭ろ胞がん(91.0%)、前立腺がん(84.3%)、女性の乳がん(83.1%)、子宮体がん(79.3%)などは、高い数値となっています。今や2人に1人ががんになると言われていますが、医療の進歩で長期生存を果たしている患者さんも珍しくありません。
国立がん研究センター生存率集計

ドラマでは手術や薬物治療の大変さを描写されることが多いですが、長期延命が可能となる中で、治療後の生活の問題は意外に知られていません。再発の不安はもちろんですが、歩行や移動、食事、排泄などの生活機能の低下や、乳房切除、脱毛、ストーマ造設のようにボディイメージの変化などがあげられます。とりわけ切実なのは就労の問題で、入院や薬物治療により就労継続ができないケースも少なくなく、「がん患者の就労等に関する実態調査」(東京都:平成26年)が行われたのを契機に、がん患者の就労支援に向けた取り組みが始まっています。
また、最近のさまざまな研究から、「がんは予防できる病気」であることがわかってきました。危険因子の多くは生活習慣にあり、「喫煙」「塩分のとりすぎ」「野菜・果物不足」「熱すぎる食べ物や飲み物の刺激」「動物性食品のとりすぎ」「多量の飲酒」はリスク要因と言われています。
このように、がんは「戦う」、「克服する」から「予防できる」、「罹っても共に生きる」ことが私たちが取り組む課題になりつつあります。

一方で、赤ワイン、お茶、コーヒー等、身近なもので「がんに効く」という記事を見たことが多いと思いますが、これらに含まれているポリフェノールなどには、発ガン物質を体から排除する酵素の働きを活性化したり、発がん物質の活性化を阻害する作用があることが実験に発見されたというものです。
私たちの体にある細胞は絶えず分裂することによって新しく生まれ変わっていますが、常に1日約5,000個の「コピーミス」が起こり、異常細胞ができているのはよく知られています。
このコピーミスで生まれた異常な細胞は、体内の免疫細胞の標的となり、攻撃されて死滅しますが、攻撃を逃れて生き残る細胞がいて、「がん細胞」となります。それらが10~20年かけて「がん」の状態になると言われています。
ポリフェノールなどは、常に長い時間をかけて作用することで、がんを予防する効果が期待されています。

関連するタキシフォリンのはたらき

ポリフェノールのひとつであるタキシフォリンは、癌細胞の脂質生成を抑制することにより、多くの種類の癌細胞の抑制効果を示すと言われています。最近でも、海外のin vitroでの実験において抗腫瘍効果についていくつかの報告があります。