煙草とタキシフォリン

一昔前までは職場や飲食店など、公共の場で煙草を吸う光景はあたりまえでした。当時は成人男性の平均喫煙率は83.7%(現在は27.8%)と煙草やライターは大人の身だしなみのひとつでもありました。しかしながら健康への影響や受動喫煙の問題が取り上げられるようになり、喫煙はがんをはじめ、脳や心臓や肺などの病気や糖尿病、歯周病など、多くの病気と関係しており、予防できる最大の死亡原因であることがわかるようになりました。特に「がん対策推進基本計画(2007年)」で、たばこ対策ががんの予防のための重要な施策として位置づけられて以来、様々な法改正やキャンペーンが行われるようになり、受動喫煙対策は社会のルールになりました。

喫煙による代表的な病気としてCOPD(慢性閉そく性肺疾患)が知られていますが、息切れと、長く続く咳と痰を特徴とし、原因の9割以上が煙草ということがわかっています。加齢とともに呼吸機能は低下していきますが、煙草の煙は肺胞を破壊し、その速度をいっそう加速させます。
また、家庭内での夫から受動喫煙により妻の肺がん、癌乳がん、心疾患といった疾病の発症リスクを上昇させることが報告されています。(Kurahashi N, et al: Int J Cancer. 2008; 122: 653-657. Wada K,, et al:. Cancer Sci. 2015.)
最近ではCOPDでは記憶・注意・遂行機能障害といった一定のパターンの認知機能障害をきたすことがわかっており、認知症との関係性が研究されています。

COPDは残念ながら禁煙すれば治るわけれはなく、たばこの煙によって壊れてしまった肺はしぼんだ風船のようになってしまったままで、禁煙したとしても、老化とともにゆるやかに進行していきます。進行を遅らせるためにも、薬物治療はもちろんですが、運動や食事など生活の中でできることを行うことが大切です。
食生活を見直すことは重要な対策になりますが、しぼんだ肺で呼吸するためには呼吸筋という筋肉を一生懸命動かそうとするので、健康な人より呼吸にたくさんのエネルギーが必要となります。また、筋肉をつくるためには、タンパク質の摂取が欠かせませんが、特に筋肉と関係が深い分岐鎖アミノ酸(BCAA」を多く含んでいるまぐろの赤身、かつお、鶏肉、牛肉、などの動物性たんぱくや卵、牛乳など乳製品を摂ることがおすすめです。
また、息切れするため運動習慣を身に着けるのは簡単なことではありません。少し動くだけで息切れが起こすという方は、「口すぼめ呼吸」※をしながら静かな呼吸を保ちながらゆっくり長い時間を歩くことを心がけましょう。
※息を吐きだす際に口をすぼめて20cm先のろうそくの火をそーっと吹き消すように息を吐く呼吸法

関連するタキシフォリンの働き

タキシフォリンは肺機能向上に関する研究として、酸化的肺障害モデルマウスに対して、肺の酸化ストレスから保護すること、ヒトを対象にした研究でCOPD患者の微小血液循環障害(血行速度、活性酸素の過剰賛成、血管透過性の亢進など)が改善したことが報告されています。
(X Liu, et al.Phytomedicine. 2022 Feb;96:153894. doi: 10.1016/j.phymed.2021.153894. Epub 2021 Dec 14.
(S.A. Danilenko,Correction with dihydroqurcetin microhemocircuratory disorders in patients with copd)