かくれ肥満とタキシフォリン

老化のひとつとして、糖、たんぱく、脂質などの新陳代謝やエネルギーを作る機能の低下が起こります。普段と変わらない食生活をしていても、加齢とともに、基礎代謝量が減ってきます。これは筋肉量が減り、活動時のエネルギー代謝量に影響して、一日のエネルギーの消費量が低下していくのです。そして、食事でエネルギーに利用されずに余った脂質や糖質は体に蓄えられ肥満、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の原因になっていきます。
高脂血症は、悪玉コレステロールであるLDLや中性脂肪の値が高くなる状態が続く病気ですが、自覚症状がないのがほとんどです。太っている人が多いと思われがちですが、国民健康・栄養調査の結果で、男性の場合、肥満の人が適正体重の人に比べて高脂血症になる確率が、1980年では2.4倍だったのが、2010年には0.9倍であったことからも、近年では見た目は痩せているがお腹に脂肪がたまっている「かくれ肥満」が増える傾向にあります。高脂血症になると、長い時間をかけて体内の血管にダメージを与えて、動脈が硬くなったり、血管壁にコレステロールが沈着します。そして、血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの生命に関わる病気の原因になることもあります。

ではどうすればいいのでしょうか。自覚症状がなくても健康診断で異常数値が見つかった段階で生活習慣の改善に取り組むことをお勧めします。日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド(2018年)版」で、①禁煙(受動喫煙の防止も含む)、②食事管理(バランス良い食事、飽和脂肪酸・コレステロール摂取の制限、食物繊維の摂取、食塩の制限(6g未満)、③体重管理(BMI25以上であれば体重減少)、④運動・身体活動量(有酸素運動を中心に8000~9000歩、30分以上)、⑤飲酒(アルコール摂取量の制限)に関する生活習慣改善が推奨されています。長く続けるためには、1週間の生活を時間単位で一覧にして、生活の中でちょっと工夫してできること、例えば料理をしながらつま先立ちをする、軽い筋トレをしながらテレビを見る、食事メニューに魚を増やす、外出時はひとつ前の駅で降りて歩く、階段を使う、乗り物では座らないなど、習慣化できそうなことから始めるのが大切です。
また、脂肪は肥満のもとと考えがちですが、脂質はエネルギー補給源であるだけでなく、細胞膜やホルモンの材料となったり、体の機能を保つために大切な働きをしているため、魚油などのオメガ3系脂肪酸、MCTオイルなどの中鎖脂肪酸などの良質なものを摂るようにしましょう。

関連するタキシフォリンの働き

タキシフォリンは、動物を使った実験で、血清総コレステロール濃度が低下、善玉コレステロールのHDLが上昇したことが報告されています。(Itaya S,et al, Biosci Biotech Biochem,56:1492-1494, 1992.)
タキシフォリンに肥満や脂肪肝の予防と治療効果があることを国立病院機構京都医療センターや名古屋大などの研究チームつきとめ、臨床研究を進めて5年後をめどに実用化を目指すことが報告されています。
(Takayuki I,et al. Nutrients. 2023 Jan; 15(2): 350.)

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