肌の老化とタキシフォリン

2023年の夏は過去最高を大きく上回る圧倒的な暑さでしたが、秋がないまま寒い季節になりました。寒い季節で気になるのが乾燥肌ですが、肌の温度が28℃を下回ると皮膚バリア機能が低下し、うるおいが奪われて乾燥肌になりやすいことがわかっています。肌の酸化はしわ、しみ、たるみを加速させるので、対策として酸化ストレスを減らすことが大切と以前のコラムでご紹介しましたが、実は肌の老化は糖化によっても起こるのです。
糖化とは、身体の中でタンパク質と余分な糖が結びついてタンパク質が変性、劣化してAGEs(糖化最終生成物)という名の老化物質を生成する反応をいいます。 この老化物質AGEsは分解されにくく、蓄積すると全身の老化を進行させ、さらに体調不良や糖尿病、高血圧、がん、など、様々な病気の原因になることもあります。気になる肌への影響ですが、このAGEsが増えると、肌のハリや弾力がなくなってシワやたるみが増えたり、メラニンが排出させれずらくなりシミやくすみが目立つようになります。また、糖化が進むと肌に栄養が行き届きにくいくなったり、肌の保水力が低下し、肌荒れも起こりやすくなります。

ではどうすればいいのでしょうか。肌対策は紫外線や寒さなどに対して、油分不足、マスクの摩擦、通常よりの保湿対策、首回りの保温など、体の外側から守るためにできる対策を行うことが重要です。そしてもう一つは、体の内側から守るための対策、つまりAGEsを増やさない食生活を習慣化することが大切です。
AGEsを減らすためには、余分な糖質を減らすこと、AGEsが多くなる食材や調理法を控えること、が早道です。高AGEs食品ランキングではカルボナーラ(1位)、ミックスピザ(3位)、シーフードピザ(4位)などが上位にランキングされており、イタリアンは意外に高いことがわかります。また、ヘルシー志向で人気のシリアルも実は要注意で、加工食品は、生産過程で高熱処理などの加工がなされていてAGEs量が多い傾向があります。AGEsは加熱する温度が高いほどより多く発生するため、揚げ物や炒め物ではなく、ゆでる、蒸す、煮るといった調理法をできるだけ心掛けることが大切です。
また、飲料や菓子類の甘味料として、「果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」が使われることが多いですが、これらはブドウ糖の10倍の速さでAGEをつくるため、商品の成分表示を確認して商品選択するのも対策のひとつです。

関連するタキシフォリンの働き

タキシフォリンは、糖化の入口である、食後高血糖を調節する可能性があることが報告されています。(Kanwal R, J Cell Biochem . 120(1):425-438, 2019)
タキシフォリンは、糖化の出口であるAGEsの産生抑制効果がポリフェノールの中で高いことが報告されています。(Cory S Harris et al,. Planta Med. 2011 Jan;77(2):196-204)