(vivo)糖尿病性腎症に対する腎臓保護効果( 2018. Mar)

【研究の背景】
末期腎不全の主要原因である糖尿病性腎症(DN)は、心血管疾患の独立した危険因子として認められており、DNに対する新しい治療薬の必要性が高い。タキシフォリンは、高い抗酸化作用、抗炎症作用、抗線維化作用を示すが、DNに対する作用はわかっていません。

【研究の目的】
高脂肪食/ストレプトゾトシンで誘導されたDNラットに対するタキシフォリンの腎臓保護効果と、高グルコースにさらされたHBZY-1とHK2などの腎臓細胞に対するタキシフォリンの基礎メカニズムを調査する

【結果】
高脂肪食/ストレプトゾトシン誘発DNラットにおいて、タキシフォリンは100 mg/kg/日の用量で尿中微量アルブミン排泄量の増加、高血糖、脂質代謝障害を有意に抑制し、腎組織病変を軽減させました。また、in vitro試験において、タキシフォリンは、高グルコースに曝された腎細胞において、細胞増殖および過剰な活性酸素の生成を有意に抑制し、NLRP3の活性化および腎線維化関連蛋白質の発現を緩和しました。
※NLRP3は樹状細胞(DC)、単球、マクロファージ等の抗原提示細胞(APC)に発現するタンパク質で自然免疫とT細胞のプライミングに重要なメディエーター

【結論および可能性】
タキシフォリン、尿中微量アルブミン排泄、高血糖、脂質代謝異常の抑制、DNにおける腎臓病理学的病変の緩和などの腎臓保護作用を有し、その腎臓保護メカニズムの一つとして、活性酸素とNLRP3インフラマソームの抑制が考えられることが明らかとなり、糖尿病性腎症(DN)への効果が期待されます。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0944711318300205