犬や猫の高齢化とタキシフォリン

先日のニュースによると、2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳だと報じられました。同様に、愛玩動物も高齢化が進んでいます。この要因は、動物医療の進歩、ペットフードの改善、飼育環境の変化などが挙げられます。特に、フィラリア(寄生虫)症の予防対策が広まったことで、愛玩動物の寿命が飛躍的に延びたと言われています。

愛玩動物も人間と同様に、シニア期になると関節の痛みやこわばり、筋力の低下、視力や聴力の低下などが現れることがあります。特に関節の問題は運動が制限され、運動不足や肥満が進行する可能性があります。内臓の機能低下や免疫力の低下により、心臓疾患や腎臓病、糖尿病、認知症、がんのリスクが増加します。
これらの身体機能の低下は、ストレスへの感受性を増加させ、健康の悪化につながり、ストレス対策もシニア期の重要な対策のひとつと言えます。

15歳を超える犬の約70%は認知機能障害による行動変化が見られると報告されていますが、歯周病はシニア前半期に多く見られることから、早い段階からの歯周病の対策が重要です。最近の研究では、歯周病が全身の健康と密接に関わっており、歯周病菌が血管に入り込むことで腎臓病や心臓病などの大きな病気の原因になることがわかっています。高齢の猫では腎不全が多く見られますが、歯周病も腎不全を悪化させる要因とされています。歯周病による二次的な動物の生活への影響は、疼痛と不快感、食事の制限、口臭と社飼主の社会交流の制限、行動の変化、ストレスと心理的影響などに及ぶと言われています。

ではどうすればいいのでしょうか。
何かしらの病気が出てからではなく、老化に伴う様々な機能低下は、日常生活の中で徐々にできなくなることを意味します。そのため、見た目や行動の変化に日頃から注意を払うことが大切です。
筋力や関節の衰えは、これまでのように散歩をすることが負担になる可能性があります。また、視覚や聴覚、嗅覚などの感覚器の衰えは、些細なことでも動物を驚かせることがあります。これらの変化はストレスの主な原因となり得るため、動物の視点を持ってコミュニケーションをとることが重要です。
特に早期に症状が出やすい歯周病に対しては、日常的なデンタルケアを心がけることをおすすめします。具体的には、定期的な歯磨き、適切な食事、口腔検査の定期的な受診、専門家による診察と歯石の除去、歯の健康を促進するおもちゃなどがあります。これらの取り組みによって、高齢動物の健康と生活の質を向上させることができます。

関連するタキシフォリンの働き

タキシフォリンは、ラットを用いた研究で歯周病に関連する歯根形成の促進 (C Duque .Arch Oral Biol. 2022 )、歯周炎症の減少(A L Alpan .Arch Oral Biol. 2020 )に関する報告があります。タキシフォリンは、ラットを用いた研究で高血糖に伴う神経障害および神経障害性疼痛に対する効果があることが報告されています(Murat A, Adv Clin Exp Med. 2022)