(vitro /vivo)メタボリックシンドロームを有する脳機能障害の改善効果(2024.May)

【研究の目的】
タキシフォリンは食品添加物として広く使用されていますが、メタボリックシンドローム(MS)に伴う脳機能障害の改善効果については十分に解明されていません。
本研究では、MSモデルラットを用いて、タキシフォリンの脳機能改善作用とその分子メカニズムを検討しました。

【結果】
10%果糖水を与えて作成したMSモデルラットの脳細胞のアポトーシス率(細胞死)を測定し、HIF-1α / AKT / NR2Bシグナル伝達経路およびKEAP1 / NRF2経路、抗酸化酵素(HO-1、NQO-1)の発現レベルを解析しました。また、PC-12細胞(神経モデル細胞)に過酸化水素(H₂O₂)を加えた酸化ストレスモデルに対して、タキシフォリンの保護効果を評価し、HIF-1α遺伝子をサイレンシング(働きを抑制)し、タキシフォリンの作用機序をさらに解析しました。

その結果、タキシフォリンは脳の過活動や酸化ストレスを抑制し、HIF-1α / AKT / NR2Bシグナルを活性化することや、同時にKEAP1 / NRF2経路を調整し、抗酸化酵素の発現(HO-1、NQO-1)を促進することが確認さあれました。また、in vitroでは、HIF-1αがこの作用に重要な役割を果たすことが確認されました。

【結論および可能性】
タキシフォリンは、HIF-1α / AKT / NR2Bシグナル伝達経路を調節することで、メタボリックシンドロームにより損なわれた脳機能を改善する可能性があることが示されました。
また、酸化ストレスの抑制にも効果があり、タキシフォリンの神経保護作用の分子機序が明らかになりました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405844024058389?dgcid=raven_sd_recommender_email