(vivo)パセリメタノール抽出物がアクリルアミドによる雄ラットの生殖毒性に対して示す保護効果(2024.Jun)

【研究の背景】
アクリルアミド(ACR)は食品加工や環境暴露で知られる有害物質であり、雄動物においてテストステロンの低下、酸化ストレスの増大、炎症マーカーの上昇、精子機能障害などを引き起こすことが知られています
一方、パセリ(Petroselinum crispum)はビタミン、フラボノイド、抗酸化成分を豊富に含む食品・薬用植物で、抗酸化・抗炎症作用が報告されています

【目的】
アクリルアミドによって誘導される雄ラットの生殖系機能障害に対し、パセリメタノール抽出物がどのように保護的作用を示すのかを、ホルモン、酸化ストレスマーカー、炎症経路(NF‑κB)、キネシン遺伝子発現、ステロイド生成関連の遺伝子発現などを通じて明らかにすること。

【方法】
雄ラット40匹を4群(各10匹)に分割:対照(蒸留水)、ACR単独群(10 mg/kg)、P. crispum群(100 mg/kg)、およびP. crispum予処置+ACR群。
経口投与を8週間継続。投与後に血中・精巣組織におけるテストステロン、FSH、LHのホルモン、水準、MDA(脂質過酸化)、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、精子運動・濃度などの評価。
NF‑κB‑p65、TNF‑α、IL‑6、IL‑10、iNOS、ステロイド生成酵素(STAR、CYP17A1、17β‑HSD、P450scc)、キネシンモータータンパクの遺伝子・免疫発現解析。
精巣組織の形態学的評価(Johnsenスコアなど)。

【結果】
テストステロン:ACR投与群では著しく低下した一方、P. crispum予処置によりほぼ正常レベルに回復。FSHやLHには有意な影響なし
酸化ストレスと抗酸化酵素:ACR群ではMDAの上昇、SOD活性の低下が見られたが、P. crispum併用群ではこれらが正常化。
炎症マーカーと遺伝子発現:ACR群でTNF‑αやNF‑κBがアップレギュレーションされ、IL‑10は低下。一方P. crispumにより適正化。
キネシン発現:ACRによるキネシン発現の抑制が、P. crispumによって改善された。
ステロイド生成関連遺伝子:STAR、CYP17A1、17β‑HSD、P450sccの発現がACRで減少したが、P. crispum併用で回復。
精巣組織形態:ACR群でJohnsenスコアの低下や精子形成異常が見られたが、P. crispum併用群では組織構造とスコアが改善。

【結論および応用可能性】
パセリのメタノール抽出物は、アクリルアミドによる雄ラットの生殖毒性に対して多面的な保護効果を示しました。酸化ストレスの抑制、炎症経路の調節(NF‑κB抑制・IL‑10上昇)、キネシン及びステロイド生成酵素の発現促進を通じて、ホルモンバランスや精子機能を回復し、組織学的にも改善が確認されました。また、FSHやLHには影響を与えず、テストステロンのみを正常化したことが注目されます
ヒトの生殖健康:アクリルアミド暴露による男性不妊や精子機能低下に対して、パセリ由来成分が保護効果を持つ可能性。天然成分による補助療法:抗酸化・抗炎症作用をもち、副作用の少ない植物由来の補助食品や機能性食品としての応用が期待されます。ステロイド生成や精巣機能支持研究への発展:NF‑κB阻害やキネシンモータータンパクの制御を通じた分子機構解析に貢献。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0890623824000534