(vivo)乳タンパク質(ホエイプロテイン)の機能性向上について(2026-May)

【研究の背景】
タキシフォリンは抗酸化作用や抗炎症作用など多様な生理活性を有するフラボノイドであるが、水への溶解性や安定性に課題があり、食品への応用には制限がありました。
一方、ホエイプロテインアイソレート(WPI)は乳由来タンパク質として優れた機能性を有し、ポリフェノールとの相互作用を介してその安定化や機能向上が期待されています。しかし、WPIとタキシフォリンの相互作用機構や、それらを食品へ応用した際の影響については十分に明らかにされていませんでした。

【研究の目的】
本研究は、WPIとタキシフォリンとの非共有結合による複合体形成の分子レベルでの相互作用機構を解明するとともに、その複合体をヨーグルトへ応用した場合の物性や機能性への影響を評価することを目的としました。

【研究の方法】
WPIとタキシフォリンを混合し、蛍光分光法、紫外可視分光法、円二色性測定、分子ドッキング解析などを用いて両者の相互作用を解析しました。また、形成されたWPI-タキシフォリン複合体をヨーグルトに添加し、ゲル特性、保水性、テクスチャー、抗酸化能などの変化を評価しました。

【結果】

  • タキシフォリンはWPIと自発的に結合し、安定した非共有結合複合体を形成した。
  • 相互作用には主として疎水性相互作用および水素結合が関与していた。
  • タキシフォリンとの結合によりWPIの二次構造に変化が生じ、タンパク質構造が再編成された。
  • 分子ドッキング解析により、タキシフォリンがWPIの特定部位に結合することが示された。
  • WPI-タキシフォリン複合体を添加したヨーグルトでは、ゲル構造の改善が認められた。
  • 保水性およびテクスチャー特性が向上した。
  • ヨーグルトの抗酸化能が増強された。

【結論】
本研究により、タキシフォリンはホエイプロテインアイソレートと非共有結合により安定した複合体を形成し、その相互作用には主として疎水性相互作用と水素結合が関与することが示されました。また、この複合体をヨーグルトへ応用することで、ゲル構造や保水性、テクスチャー特性が改善されるとともに、抗酸化能も向上しました。

これらの結果から、WPI-タキシフォリン複合体は、乳製品の品質向上と機能性付与を目的とした新たな食品素材として有望であることが示唆されました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42100298/