フレイルとタキシフォリン
コロナ禍によって、外出を自粛する高齢者が増えて、歩けなくなった、物忘れがひどくなったという話を聞いたことがあると思います。このように身体機能と認知機能に影響が出た結果、介護が必要な一歩手前の状態を「フレイル」と呼びます。フレイルとは健康に対して脆弱な状態をいい、2014年に老年医学会が提唱した概念で、①体重が減少②歩行速度が低下③握力が低下④疲れやすい⑤身体の活動レベルが低下のうち3つ以上当てはまった場合を指します。
東京大学高齢社会総合研究機構が東京都の高齢者に対してCOVID-19流行前後のフレイルチェック結果の比較した研究で、歩行速度が低下した人は、身体活動量の低下した人には3.4倍多く、さらに、人と会う機会やつながりの低下した人で9.5倍、口腔機能の低下を訴える人に3.7倍多いことが報告されました。
このことは、外出の自粛がフレイルの要素である移動能力、筋力、バランス、運動処理能力、認知機能、栄養状態、持久力、日常生活の活動性、疲労感など広範囲に影響していることを示しています。
歩行速度の低下がみられるフレイルを予防するには、立つ・座る・歩くなどの基本的な移動機能に必要な下肢や体幹の筋肉の筋力トレーニングが有効とされています。とくに姿勢を保つための抗重力筋 図1)、体幹の安定に関わる腹横筋、腹斜筋群を使う運動が推奨されています。1) つまりウォーキングや集団体操などの負荷のかからない運動でも、姿勢を意識して継続して行うことで筋力を維持することができます。
1) 厚生労働省, 運動器の機能向上マニュアル改訂版より
関連するタキシフォリンの働き
高齢期になると筋力の低下によるものだけでなく、認知症やパーキンソン病又はパーキンソン症候群にともなう運動機能に何かしら症状が表出することがあります。
ラットを使った研究で姿勢不安定、運動障害、振戦などのパーキンソン症状が改善したという報告がありますが、ヒトを対象とした使用例でも「歩行がはやくなる」、「体幹傾斜がなくなる」、「転ばない」、「車いすから立ち上がれる」等の運動機能の改善が見られたという報告があります。2)
1)Afolabi C ,et al.J Biochem Mol Toxicol. 2022 May;36(5)
2)河野和彦,タキシフォリンの改善者26 例の分析より
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