(vitro)心血管損傷に対する保護効果(2020.May)

【研究の背景】
強力な酸化能力を持つ重金属の一種である六価クロムは心血管疾患 (CVD) を誘発する可能性がある一方で、タキシフォリンは細胞や生体を酸化ストレスから保護することが報告されている。

【研究の目的】
タキシフォリンのヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびTHP-1細胞における六価クロム誘発細胞障害に対する抑制効果の検証

【結果】
両細胞株において、六価クロムはMAPK(Mitogen-activated Protein Kinase)のp38およびJNKのリン酸化を増加させ、アポトーシスを抑制する因子BaxとBcl-2の発現を制御する一方で、六価クロム刺激は接着因子ICAM-1とVCAM-1の発現を増加させ、THP-1細胞のヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC)への接着を上昇させました。

さらに、六価クロムは、THP-1細胞において、核内因子κB(NF-κB)シグナル伝達経路の活性化、p65の核内蓄積、IκBのリン酸化、活性化されたカスパーゼ-1およびIL-1βの発現の増加を誘導しました。

しかし、タキシフォリンは、MAPKおよびNF-κBシグナル伝達経路の活性化を阻害し、アポトーシス関連タンパク質の発現を制御し、THP-1細胞のヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC)への接着を緩和することによって、その効果を逆転させることができました。

【結論および可能性】
これらの結果から、タキシフォリンは、六価クロムによって誘導される内皮機能障害、単球の炎症および細胞接着を予防する可能性のある素材であることが示されました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32319486/