(ヒト)脳活動、精神疲労、全血トランスクリプトーム※への影響 (2023.Apr)

【研究の目的】
ポリフェノールに含まれる抗酸化物質の特性は、ほとんどの植物に存在し、脳機能の向上やストレスの軽減など、健康の維持に有用であることが示されており、ポリフェノールのひとつであるタキシフォリンが健康な若者の認知機能や遺伝子発現に対する影響を無作為二重盲検クロスオーバー試験により調査する。

【結果】
健康な若者に対してプラセボとタキシフォリンを含む食品の単回投与を行い、認知機能についてはワーキングメモリ課題のシリアル3,シリアル7,注意課題のRapid Visual Information Processing (RVP)、精神的な疲労を分析するための視覚的アナログスケールアンケートをセットにし、4回繰り返されました。
結果として、タキシフォリンの摂取により計算能力が向上し、精神的な疲労が軽減されることを示しました。テスト前後の全血液の遺伝子発現の分析では、タキシフォリン摂取後に異物除去関連遺伝子の発現が増加し、最も発現が異なる遺伝子は顆粒球に豊富に見られました。

【結論および可能性】
タキシフォリンの摂取は、健康な若者の脳活動に影響を与え、疲労感を軽減する抗疲労効果が示されました。タキシフォリンの単回摂取は、自然免疫系を強化することで、異物の除去を促進し、損傷の発生を抑制すると考えられます。
※トランスクリプトーム:細胞内の全DNAの塩基配列情報をさす「ゲノム」に対し、細胞内の全転写産物(全RNA)を「トランスクリプトーム」と呼ぶ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36946764/