【vitro】数種のフラボノイドとタキシフォリンとグリオキシル酸の複合体の好中球の酸化バーストに対する阻害効果の比較研究(2023.Oct)
【研究の背景】
フラボノイドを多く含む食品や飲料の保存、加工、消化の過程で、フラボノイドと毒性カルボニル化合物との縮合が起るが、その結果生じた生成物の細胞に対する影響は、ほとんど分かっていない。
※毒性カルボニル化合物:炭素と酸素が二重結合(C=O結合)しているカルボニル基を含む化合物のうち、毒性を有するものでアルデヒドやケトンなどの有機化合物が該当する
【研究の目的】
ケルセチン、タキシフォリン、カテキン、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ナリンゲニン、およびタキシフォリンとグリオキシル酸の縮合生成物(DfTf)が好中球の酸化バーストに及ぼす影響を評価することです。
※好中球の酸化バースト:好中球が活性化されると、細胞内に大量の活性酸素種(ROS)を発生させる現象のこと。この活性酸素種は、非常に強い酸化力を持っており、細菌の細胞壁を破壊したり、ウイルスを不活性化したりすることで、病原体を殺す働きする。
【結果】
テストしたフラボノイドの他にタキシフォリンとグリオキシル酸との縮合生成物(DfTf)が、好中球によるROSの総産生を阻害することが明らかになりました。フラボノイドは、細胞内および細胞外の両方でROS産生を減少させました。一方、縮合生成物(DfTf)は、細胞内ROS産生には影響を及ぼさないものの、細胞外ROS産生を選択的かつ効果的に抑制しました。
これらの結果から、フラボノイドと毒性カルボニル化合物との縮合が、好中球の酸化バーストを阻害する有効な化合物の形成につながる可能性が示されました。また、この反応により、フラボノイドやその誘導体の細胞機能に与える影響が変化する可能性も示唆されます。
【結論および応用可能性】
この研究は、これらのポリフェノールの構造と活性の関係を明らかにしており、酸化ストレスに関連する疾患に対する新しい治療薬の探索に役立つ可能性があります。